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ビートルズの凄さ⑦~サージェント・ペパーは本当にロック史上の最高傑作か?検証!~

ビートルズ
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「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」がロック史上の最高傑作と呼ばれる理由!

ビートルズが1967年にリリースしたアルバム
「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は
ビートルズのアルバムの中だけでなく、しばしばロック史上の最高傑作とも評価されています。

●ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイムベストアルバム上位5位
(2012年 芸術家たちによる投票によって選出)
1位.Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band/ビートルズ
2位.Pet Sounds/ザ・ビーチ・ボーイズ
3位.Revolver/ビートルズ
4位.Highway 61 Revisited/ボブ・ディラン
5位.Rubber Soul/ビートルズ

最高傑作である理由は、
ロック史上初のコンセプトアルバム!
とされており、後のロックへの影響が最も強いアルバムと評価されているからです。
後のプログレッシブロック(キングクリムゾン、ピンクフロイドなどが創った音楽)の
元ネタとなったばかりでなく、
このアルバム以降、ロック・ポップスは曲単位でなくアルバム単位で作品が評価されることになります。

また、このアルバムには「ラバー・ソウル」で達成した内省的表現とアルバムの統一感が見られ、
「リボルバー」で提示した録音技術を駆使して新しい音をつくるという表現方法もより進化した形で見られます。
「サージェント・ペパーズ~」は中期と言われるビートルズの集大成的アルバムでもあることも
最高傑作と言われる理由の一つとなっています。

アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を解説!

●収録曲
1.Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
2.With A Little Help From My Friends
3.Lucy In The Sky With Diamonds
4.Getting Better
5.Fixing A Hole
6.She’s Leaving Home
7.Being For The Benefit Of Mr. Kite!
8.Within You Without You
9.When I’m Sixty-Four
10.Lovely Rita
11.Good Morning Good Morning
12.Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
13.A Day In The Life

このアルバムのコンセプトは、
ビートルズのメンバーが架空のブラス・バンド
「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」となって
コンサート仕立てで進められていくというものです。

1曲目の歌詞がそのコンセプトを伝える内容になっていて
最後に司会とバンドによって架空の歌手であるビリー・シアーズが紹介され、
リンゴがビリー役で2曲目を歌うという構成になっています。
通常のアルバムであれば、曲と曲の間には音のない空白の時間があるのですが
このアルバムの1曲目と2曲目の間に空白はなく、
この構成はビートルズが初めて行ったものとされています。

そして12曲目に再びテーマ曲(リプライズ)が演奏され、
この曲の歌詞がコンサートを聴いてもらったお礼という内容になっています。
そして、アンコールの13曲目で幕を閉じるという構成になっています。
(この12曲目と13曲目の間にも空白がありません。)

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ロック史上の最高傑作論に待った!!異論を展開!

「サージェント・ペパー」が最高傑作との評価に異論を唱える人もいます。

このアルバムにコンセプトが反映されている楽曲は
オープニングとエンディングのみで
(1曲目と2曲、12曲目と13曲目)
この間に挟まっている曲は、コンセプトに沿って創られていないからです。
従ってコンセプトアルバムとしては不完全と、後にジョン・レノンが語っています。

評価を曲ごとにしてみると、
オープニングとエンディングの4曲は
最高傑作と呼ばれるだけの素晴らしい楽曲ですが
他の曲は捨て曲と呼ばれても仕方のないものも多いです。

以上の2点が、このアルバムの最高傑作論に待ったをかける主な理由となります。
最初のコンセプトアルバムなので、完璧さを求めるのは酷で、
時間が経った現在、聴くと粗が目立つかもしれません。

しかし、最高傑作と論じる側も、この不完全さは承知しているはずで、
それでも最高傑作に推されるのは、
コンセプトアルバムを創ったというのは、
その不完全な部分を充分凌駕するものであったということです。

「サージェント・ペパー」最高傑作論を納得するには
コンセプトアルバムを初めて聴いたというリスナーのインパクトを理解しないとなりません。
それには、アルバムが発売された当時の背景を知る必要があります。

それでも最高傑作である理由!発売当時のインパクトを推測する!

おもしろいのは、冒頭に紹介した2012年のローリング・ストーン誌の投票で
ベスト5となったアルバムが1965年~1967年の
3年間にリリースされたものであるということです。
これらのアルバムを中心に、この3年間のロックシーンを振り返ることで
このアルバムの衝撃度がどれだけのものであったか探ってみたいと思います。

●1965年~1967年の最重要アルバム
①1965年8月 Highway 61 Revisited/ボブ・ディラン
フォークがエレキ化!変化し続ける音楽をロックと名付けた!
②1965年12月 Rubber Soul/ビートルズ
ボブ・ディランの影響を受け、内省化をとげたトータルアルバム
③1966年5月 Pet Sounds/ビーチ・ボーイズ
ラバー・ソウルに衝撃を受け、それ以上の芸術品を創り上げた
④1966年5月 Blonde on Blonde/ボブ・ディラン
2枚組というボリュームにも関わらず、全作詞作曲された名曲で占められた
⑤1966年6月 Freak Out!/フランク・ザッパ マザーズ・オブ・インヴェンション
2枚組、コンセプトアルバムの先駆け
⑥1966年7月 Fifth Dimension/バーズ
サイケデリックロックを初めてアルバムで提示
⑦1966年8月 Revolver/ビートルズ
録音技術を駆使して、新しい表現方法を提示
⑧1966年12月 Fresh Cream/クリーム
白人がエレキギターでブルースを表現(楽器音で魅了する)
⑨1967年6月 Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band/ビートルズ
ロック史上、最初のコンセプトアルバムを提示
⑩1967年9月 Smiley Smile/ビーチ・ボーイズ
ペット・サウンズの延長線上のコンセプトで創作されたが未完に終わる

ボブ・ディランが1965年に変化し続けるというコンセプトを提示して
誕生したロックは、それ以降、芸術性を帯びていきます。
そして、高い芸術性を達成する方法論は1966年までに次々と出揃っていきます。
そして’67年以降は、その方法論でどれだけ完成度の高いものへ
昇華させることができるかどうかが、最高傑作を創る近道となったのです。

その方法論とは、
「ペット・サウンズ」、「リボルバー」が提示した
録音技術、外部ミュージシャンを駆使して新しい音を創る方法。
「フリーク・アウト!」が提示した
アルバムに、テーマとコンセプトを持たせ、それを明確化する方法。
「フィフス・ディメンション」が提示したサイケディックサウンド。
「フレッシュ・クリーム」が提示した
楽器をフューチャーして楽器を聴かせるという方法。
’67年、これらのアルバムを超えるもの創るには、これらを参考にする必要がありました。

’67年は、その下地があったこともあり、
ドアーズ、ジェファーソン・エアプレイン、ベルベット・アンダーグランド&ニコ、
グレイトフル・デット、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、バンド、などなどの
物凄い新人たちがデビューしています。
しかし、新人にいきなり、「ペット・サウンズ」、「リボルバー」を超えるものを
創るのは難しく、その可能性があったのは、
やはり、’66年にアルバムを出した上に挙げたアーティストに限られていたのだと思います。
さら絞れば、芸術性の高いアルバムを創ることに意欲的であった
ビーチ・ボーイズ、ビートルズの2組が当時の最有力候補でした。

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1967年、「ビートルズ」vs「ビーチ・ボーイズ」!どちらのバンドが最高傑作を創れるか?

ビーチ・ボーイズの「ペット・サウンズ」は、「リボルバー」に匹敵する物凄いアルバムです。
ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンが「ラバー・ソウル」に衝撃を受け、
それ以上のアルバムを目指して創られたアルバムで、
ラバー・ソウル⇒ペット・サウンズ、と順番に聴くと大幅に進化したアルバムであったことが分かります。
「ペット・サウンズ」は、思いつく楽器、楽器以外の音までも録音し、
多重録音しながら曲を完成させていったアルバムでした。
現在、当時の音源を聴くとスカスカした印象を持ちがちですが
「ペット・サウンズ」には、そのような印象はまったくなく、
’66年に創られた音楽とは信じられないくらいの密度を持っています。

「リボルバー」制作にも「ペット・サウンズ」の影響が、かなりあったのでは?と思われますが
よく言われるのは「サージェント・ペパー」への影響です。
「ペット・サウンズ」がなかったら「サージェント・ペパー」は存在しなかったと
ジョージ・マーティンが語っています。
不幸だったのは、ビーチ・ボーイズのコンポーサーであるブライアン・ウィルソンが
ペット・サウンズ、リボルバーを超えるアルバムを創るというプレッシャーに負けてしまい
ペット・サウンズの次に出るはずだった「スマイル」がお蔵入りしてしまったことです。
(このとき録音された曲を断片的にリリースしたのが「スマイリー・スマイル」です)

ビーチ・ボーイズの「革新的で芸術性の高いアルバムを創る」という競争からの離脱で
最高傑作アルバムを創れる最有力候補者は、ビートルズとなりました。
そして、ビートルズは、期待に見事に応え、「サージェント・ペパー」を完成させました。
「サージェント・ペパー」が評価されるのは、この流れがあるからです。
つまり「サージェント・ペパー」は、次々とライバルたちが
誰もやったことのない(革新的で)芸術性の高いアルバムを創るという
応酬合戦の時代の頂点に立ったアルバムなのです。

もちろん、後のアーティストたちも芸術的なアルバムをいくつも創り、
それらは完成度という点において、これらのアルバム以上のものも出現します。
しかし、どれも「革新」という点では、65年~67年に創られた名作と呼ばれるアルバムには敵いません。
ロックは、この3年間で飛躍的に進化してしまいました。

芸術性と革新性という点で「サージェント・ペパー」以上のアルバムはありません。

ブライアン・ウィルソンが「革新的で芸術性の高いアルバムを創る」という競争から離脱してしまったことで、
ビートルズも「サージェント・ペパー」の次のアルバムでは、その競争から離脱します。
1967年に「スマイル」が完成していれば、最高傑作の評価の座は
「サージェント・ペパー」ではなかったのかもしれません。

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