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大長編ドラえもん2巻「のび太の宇宙開拓史」感想~ワープは可能か?~

大長編ドラえもん

のび太の宇宙開拓史

あの遠い星空を行く宇宙船と、 のび太の部屋のタタミがつながった。

「のび太の宇宙開拓史」は、宇宙を舞台にしたいわゆるSFです。
聞いたこともないはるか遠くの星に住むロップルくんの宇宙船と
のび太の部屋のタタミがつながったことを契機に物語が始まります。
この偶然によってのび太は、
どれだけ遠いかもわからない宇宙の彼方の星に行くことができるようになったのです。

そして、この「宇宙開拓史」という題名は、
アメリカ国家が成熟する過程=西部開拓時代をモデルにしていることから名づけられています。
この物語は、はるか彼方の星、未開の星コーヤコーヤ星と科学が発達した星トカイトカイ星が舞台となっています。
コーヤコーヤ星は未開の土地=アメリカ、
トカイトカイ星は世界に先駆けて産業革命を成し遂げた国=イギリスがモデルです。
つまり、「のび太の宇宙開拓史」のプロットはハリウッド映画の西部劇を下敷きにした物語となっています。

例え、のび太でもスーパーマン

「のび太の宇宙開拓史」は、相対性理論に基づいた設定になっています。
つまり、重力の小さい空間では、重力の大きい空間に比べ時間がはやく進むというものです。
ロップルくんが住むコーヤコーヤ星での一日は地球の一時間くらいらしいのです。
そして、時間がはやいということは重力が小さい。
地球では1mもない柵を乗り越えられず、コケてしまうのび太ですが
コーヤコーヤ星では何十mもジャンプできるのです。

「スーパーマン!!」のび太は嬉しそうに叫びます。
例え、のび太でもコーヤコーヤ星では、ロップルくんたちを
脅かす悪の組織ガルタイト鉱業の大人たちを簡単にやっつけることができるのです。
ロップルくんの窮地を救ったのび太とドラえもんはコーヤコーヤ星のヒーローとして迎えられます。
こんなに称賛されたことのないのび太は、嬉しくて仕方ありません。
地球では、飛び跳ねてはコケて、道で犬にかまれ、車をよけようとしたらドブに片足を落とし
テストで0点をとってはお母さんに怒られるなど、
ろくなことがないのび太ですが、コーヤコーヤ星では違います。
のび太たちに負かされ、仕返しを図るガルタイト鉱業の連中を
のび太とドラえもんはスーパーマンのような強さで返り討ちにします。

痛快です。
のび太がこんなに強いと自分も強くなった気になります。

コーヤコーヤ星で過ごしているうちに
ロップルくんとその妹クレム、ペットのチャミーとの友情も深まっていきます。

正義が悪を倒す痛快さ

「のび太の宇宙開拓史」は、はるか遠い星で(相対性理論に基づいた設定で)、
悪役と戦うという勧善懲悪ものになっています。

最後の悪の組織との対決は、
・地球とコーヤコーヤ星とつながっていた空間がいつちぎれるか分からないという時間的制約
・地球に帰れなくなくかもしれないのにコーヤコーヤ星へ友達を助けるために行くのび太
・友情あふれる行為はのび太とドラえもんだけではありませんでした。
この窮地を把握したしずかちゃんは、ジャイアン、スネ夫に助けを求めに行きます。
ジャイアンは、のび太とケンカ状態ではありましたが、真っ先にのび太を助けに向かいます。(スネ夫も)
こうしてお馴染みのメンバーが集結し、最後の対決が始まります。
という少年マンガの王道的盛り上げ方で、とにかく痛快です。

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ワープは可能か? 実際に何十万光年離れた星に行くことはできるのか?

何十万光年も離れた星に行くには、光の速さで何十万年もかかるわけですから
ワープをして旅をすることがSFの定石です。
「のび太の宇宙開拓史」でもワープが登場し、ワープ理論も説明されます。

実際には、将来ワープして遠い惑星に移動することは可能なのでしょうか?
ワープが登場して話題になった作品を紹介しながら考察してみます。

1966年 スタートレック(英のTVドラマ)
1968年 2001年宇宙の旅(米映画*スタンリー・キューブリック監督)
1974年 宇宙戦艦ヤマト(日本のTVアニメ)
1977年 スターウォーズ(米映画*ジョージ・ルーカス監督)
1997年 コンタクト(米映画*ロバート・ゼメキス監督)
2014年 インターステラー(米映画*クリストファー・ノーラン監督)

SFはあくまでフィクションなのでワープ理論は作品ごとに違います。

1.「のび太の宇宙開拓史」のワープ理論
宇宙を紙に例え、A地点からB地点に一番早く行く方法は、一直線上に進むのではなく
紙を折り曲げ(空間を歪曲させて)A地点とB地点をくっつけてしまうというものでした。
他のSFで使われるワープ理論も、この理論が通例になっていると思います。
しかし、どうやって空間を歪曲させるという理論は説明されていません。

2.スタートレック、スターウォーズのワープ理論
宇宙船の周りの空間を異次元空間にすることにより
相対性理論を無視した(光よりも速い=ワープ)状態をつくりだすというもの。
スターウォーズのエピソード4でハンソロは、
ワープに入る前に星にぶつからないようなルートを確保するため
膨大な計算をコンピュータにさせています。
つまり、この理論は宇宙空間を宇宙船が光よりも速く移動しているというものです。
この理論は、「ワープドライブ」と呼ばれ、
物理学者がスタートレックで披露した理論を相対性理論を下敷きにして可能か検証した結果、
机上の理論では可能だと結論したものです。
但し、これを可能にするには全宇宙の100億倍のエネルギーを必要とするため
現在の理論では実質不可能となっています。

3.インターステラーのワープ理論
最近では、インターステラーが最新の宇宙理論からワープ理論を解説していました。
インターステラーでのワープ理論の基本は、
「のび太の宇宙開拓史」で説明されたものとまったく同じ説明でした。
但し、インターステラーでは歪曲した宇宙空間を人間が作り出すということではなく
ブラックホールそのものがそのような状態であるという設定で
ブラックホールに入ることでワープするというものでした。
(ブラックホールが球体というのも新説でした)
ブラックホールは地球外生命体がつくったという設定になっており
インターステラーでも空間を歪曲する理論は説明されていません。

4.2001年宇宙の旅、コンタクトのワープ理論
この二つの映画で描かれたワープは、
実際ワープしたのか不明で、結論を視聴者にゆだねています。
ワープ理論の説明はないので「どこでもドア」での移動と同じものと言えます。
地球外生命体がつくったワームホールに宇宙旅行者が入ると
旅行者の主観では、ワープをしているように表現されています。
しかし第三者的には、はっきりとしたワープの痕跡がないので
旅行者の幻覚と言われても反論できないという表現になっています。

この中では、インターステラーがブラックホールを最新学説に基づいて解説しており
ワープを実際に行うとしたらブラックホールに入るのが現実的だと思われます。
(但し、ブラックホールが、遥か遠い空間を繋ぐ道となっていることが前提です)
ブラックホールにたどり着くまでに膨大な時間がかかってしまいますが。
人工的にワープをつくりだすとするとスタートレックのワープ理論が
現在、唯一可能性があると言えます。
机上の空論ではありますが、理論としてなりたっているのはこの理論だけだからです。

現実的にワープで遠い星に行くことが可能になるのは、何百年か先になりそうです。

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