「電波の城」４巻（ネタバレ）感想～どの天気予報を信じるかは、あなた次第～

「電波の城」４巻のあらすじとテーマ

「電波の城」４巻は、詩織がサッポロＦＭのアナウンサーを辞める時（１０ヶ月前）の話が半分以上を占めています。
その後、天宮詩織ｖｓ角舘ちず子の話が５巻のクライマックスに向けて続きます。
どちらの話も先が気になって、一気に読破してしまいます。

詩織のサッポロＦＭのアナウンサー時代の話は、
１巻で「詩織は最悪にして災厄の女で、サッポロＦＭが壊滅的混乱に陥った元凶！」と
煽って終わっていて、サッポロＦＭ在籍時に何があったんだろう？と
思わせながら最後まで読ませます。

そして、天宮詩織ｖｓ角舘ちず子の話では、
何故、角舘ちず子は執拗に新人アナウンサーをいじめるのか？
その答えを探るために詩織は谷口ハジメに角館ちず子の過去の調査を依頼します。
その原因は、過去に丸の内テレビ内で起きたある事件に、
どうやら関係していそうということで、興味をそそられる描き方になっています。

４巻で面白いと思ったのは後半、テレビ局の天気予報の出し方が具体的に描かれ、
それがベースになって物語が進んで行くことです。

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天気予報は、こうして決められる！

ＮＨＫの斉田季実治さんは、ハロウィンのときなど、被り物をしたり、
アドリブでプライベートなことを一言二言言ったりするなど、
割と珍しいタイプのお天気キャスターだと思います。
（詩織はこれらをやらされるはめになりましたが、斉田さんは視聴者に毎日習慣的に観てもらえるように自主的にやっているそうです。）
少し、詩織とタイプが似ていると思ったので
斉田さんのインタビュー話題の気象予報士が真実を語る！？気象キャスター・斉田季実治さんを
もとに詩織と斉田さんの仕事を比較してみました。

＜天宮詩織の場合＞
午前５時～ＢＳで放送。
お天気コーナーの担当時間は５分。

丸の内テレビの報道局内に気象センターがあり、
このセンターに気象庁や気象協会から定時にデータが届きます。
夜の７時に出社して、そのデータをもとに自分の予想をたてます。
何人もの予報士が集まって、それぞれの意見を出し検討し合って
丸の内テレビとして統一した天気予報を決める。

＜斉田季実治さんの場合＞
午後９時～地上波（ＮＨＫニュースウオッチ９）で放送。
お天気コーナーの担当時間は４分半。

午後３時に出社し、３時半からは気象キャスターみんなで資料を元に解析した資料をプレゼンします。
参加するキャスターは一番多いと８人くらい。（斉田さんはそのまとめ役をしているそうです。）
放送の構成を考えるのが午後４時くらいで、夜の８時まで天気予報の原稿を書いたりメイクをしたり、
その間にも実況を確認して予測とのズレを修正します。
気象庁のデータの発表は、午前５時と午前１１時と午後５時の３回で、
発表がない時間帯に放送に出る人になればなるほど、自分で現在の状況と修正しなければならない。

詩織は早朝のＢＳの番組とはいえ、５分も時間が与えられています。
通常は２分～２分半らしいので、斉田さんをも凌ぐベテラン的扱いです。
興味深いのが、斉田さんは「気象庁」の発表をもとに予想しているのに対して
詩織の場合は、「気象庁や気象協会」からとデータをとっていると言っていることです。
これはどういうことを意味しているのでしょうか？

天気予報は各テレビ局、それぞれのネットページ、などによって異なる！どの媒体を信じるか、自分で決めなければならない！

気象庁のホームページを見てみると現在、
前日に予想した天気予報が当たる確率は８６％だそうです。
つまり、１年のうち約５０日はハズレているんです。

これは気象庁が発表した予報に対しての結果で、
実は、私たちが観ている各テレビ局が発表した天気予報に対しては
どのくらいの確率で当たっているかは分からないのです。
（各テレビ局が公表していないので）
というのも天気予報の業務は気象庁だけではなく、
国から許可を受けた７０近い事業者も行っていいことになっており、
テレビ局は許可されたどの事業者のものも採用してもいいからです。
ＮＨＫは国営なので、おそらく気象庁のものしか採用していないと思われますが、
民放は、気象庁だけでなく他の事業者のものも参考にしています。

しかし、曇りになるのか、雨になるのかを知りたくて予報を見て信じ、
例えハズレたとしても、それ程は気にしないのではないでしょうか？
しかし、それが災害の予報であったら別ではないでしょうか？
災害になりうる私たちに身近なものと言ったら台風です。
台風の進路の予想について、時間と進路を当てるのは雨が降るかどうかより難しいはずです。
台風の進路予想について知りたいと思ったとき、
どの事業者の予想を信じるかは各個人で判断しないとなりません。

最近では、ネットで米軍発表の予想をみることもできます。
米軍の予想は、日本と違う気象衛星のデータをもとに予想しているので、
日本の業者の予想と違うことが結構あります。
天気予報は、気象庁の予想を信じるのか、国が許可した他の事業者の予想を信じるのか、
はたまたアメリカの予想を信じるのかは、あなた次第！ということです。