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「ヴィンランド・サガ」14巻(ネタバレ)感想

ヴィンランド・サガ

「ヴィンランド・サガ」14卷が2月21日に発売されました。

ヴィンランド・サガ(14) (アフタヌーンKC)

今卷で長かった奴隷編が完結しました。
奴隷編は長くはありましたが、完結の今卷が素晴らしかったので
焦らされたことも良しとしましょう。
この卷で、二つの国家の形が提示されました。
それは、アメリカ合衆国と日本です。

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奴隷になったことでトルフィンは「殺さずの境地」に至りますが
今卷では、もう一段上の境地に至るため
王と奴隷という立場の違いはあれど、
かつての同朋であり、デンマーク王であるクヌートに無血の停戦交渉に挑みます。

クヌートは、かつてトルフィンに
「この地上に楽土をつくる。生き苦しむ者達のための理想郷を。」と言った。
しかし、王となったクヌートは
「恐怖の略奪者ヴァイキングは、最も神に見捨てられた存在である」と悟ります。
「まずはヴァイキングを救わなければ、楽土などつくれぬ!」
「この者達と一緒に楽土をつくるのだ!」とトルフィンに伝えます。

そう、クヌートは力を持って世を救うというのです。
それは、多くを救うには、少数の犠牲を伴うという性質のもの。
一方、トルフィンの考える楽土とは「一切の暴力を否定する」というものでした。
暴力の連鎖は永遠に続き、その先には地獄しかないと。

クヌートは違う考えを持つトルフィンには
「暴力を持って淘汰しても仕方ない」と考えていますから
クヌートが暴力を持って攻撃してき場合、
「一切の暴力を否定する」トルフィンは、どうするのか?

トルフィンは「逃げる」と言い放ちます。

というのが14卷、奴隷編のテーマ。
この二人の考え方って現在の国家に置き換えると何処と何処になると思いますか?

クヌートの考えはアメリカ合衆国そのものですね。
アメリカは国家予算の大半を軍事費に費やし、
それは軍事費世界2位の中国の10倍近くに及んでいます。

では、トルフィンの考えは?
そんな国はないと思うでしょうが、日本がそれに近いのではないでしょうか?
憲法9条で軍隊を持つことを許されない(実際は違いますが)国です。
戦後の日本は平和を主張する国として君臨してきました。
しかし、それが成り立ったのは、アメリカの庇護があったからであり
20世紀のアジアに近代化に成功した国は日本しかなかったからです。

21世紀に入り、世界情勢は変わりました。
暴力で攻撃すると脅された場合、日本はどうすればいいのでしょう?
トルフィンのように逃げる場所があれば、いいのでしょうが
残念ながら日本に逃げる場所は、ありません。

トルフィンは、父親が辿り着いた楽園アイスランドに帰郷します(逃げます)。
そこには、幸せな家族の姿がありました。
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