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5.月刊漫画誌黄金時代① 少年vs少年画報 ヒーローの誕生 戦後日本マンガ史’45年~’50年代⑤

ニッポン戦後マンガ史(’45年~’50年代)

5.月刊漫画誌黄金時代① ヒーローの誕生

まぼろし探偵

ビリーパック・鉄人28号・月光仮面・パイロットA

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手塚治虫は心情を表すに最低限の絵を連続させることで、誰でも何でも漫画で物語れることを提示した。講談、映画、スポーツ、紙芝居、絵物語、何でも見よう見真似で漫画に置き換えられ、漫画志望者が増殖し始める。’50年代後半は、手塚に影響され漫画家を志した漫画家第二世代が育ちつつあった年代であり、団塊の世代が小学低学年にさしかかる年代であり、児童漫画の表現方法が確立されだした年代だった。’50年代後半は、おそらく二度と訪れることのない児童漫画の最盛期となった。絵物語の人気作を持っていた「おもしろブック」は漫画へのシフトが遅くなり、部数を落としていったが、「少年」、「少年画報」はいち早く小説、絵物語から漫画にシフトし、発行部数を伸ばす。少年画報は’58年最高発行部数80万部を記録する。日本はまだ敗戦から10年足らずで、家はもちらん食料さえ乏しい時代だった。そんな時代にこれだけ漫画雑誌が売れたのは驚くべきことで、子どもたちは楽しみが少なく、知識や娯楽に飢えていた。

キャラクターの重要性 ヒーローの誕生
’50年代前半、馬場のぼるが漫画を日常へ侵入させ、福井英一はライバルとの対決ものを定着させた。この二人に共通するのは、「魅力的なリードキャラクターの必要性」という要素が少年漫画に確立し始めたということであった。前者の漫画は、家庭や横町を舞台に闘いも冒険もないゆえに、少年たちのキャラクターをしっかりと創り上げ、日常的出来事の中で面白さを演出しなければならなかった。後者の漫画は、闘いこそが物語となり、キャラクターの個性のぶつかり合いが物語となっていく。そのキャラクターしか持ちえない必殺技、決めポーズ、ファッション、道具、などが重要となる。こうして、漫画の中から何人ものヒーローが誕生し始め、少年たちを魅了する。(手塚がつくり上げたキャラクターが魅力を得るのは鉄腕アトム、ジャングル大帝などがテレビアニメ化されてからだった。)

当初、漫画の中で描かれたヒーローは、テレビからの移し替えであった。’53 年、日本で初めてテレビ放送が始まり、街頭テレビがあちこに設置される。プロレス人気とともにテレビが普及し、’56年にはテレビの普及率は30万台と増えていた。’56年11月より「スーパーマン」 がテレビ放送され、最高視聴率60.7%の人気ドラマとなる。「スーパーマン」は吉田竜夫「スーパーマン」で漫画化され、パロディものとして尺丈助(原作)/桑田次郎(作画)の絵物語「ロケット太 郎」となった。そして、’58年2月から放送された川内康範の「月光仮面」が大ヒットする。これを桑田次郎が漫画化し、少年クラブで連載されると少年クラブの人気を立ちなおさせるほどの人気を得た。

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探偵漫画
「スーパーマン」、「月光仮面」は人気を得たが、これらで活躍するヒーローは大人であり、読者である少年が感情移入すにはもう一工夫必要だった。そこで考案されたのが少年が大人であるヒーローと対等に活躍する少年探偵ものであった。’54年、河島光広「ビリーバック」が連載される。「ビリーバック」は、ビリー少年が探偵となって陰謀団と対決する物語で、「少年探偵」vs「陰謀団」というパターンを初めて提示した。国際的陰謀団が次々と繰り出してくる新兵器、国連軍まで登場するスケールの大きさ、などの設定が少年の心をつかみ人気となる。そして’56年、横山光輝「鉄人28号」が連載される。「鉄人28号」はマジンガーZなどの系譜の元祖的存在で、ロボットものとしての評価が高いが、少年探偵vs犯罪組織の攻防を描いた探偵ものでもあった。次にヒットした探偵漫画が桑田次郎「まぼろし探偵」だ。「まぼろし探偵」は、少年画報社で赤胴鈴之助の次を担うヒット作として期待され、赤胴鈴之助と同じようにラジオ化、テレビドラマ化され、爆発的人気を得た。’50年代後半、探偵漫画は人気ジャンルとなったものの’61年「ビリーバック」、「まぼろし探偵」の連載終了で終息をみる。探偵漫画の人気が復活するのは’90年代に入るまで待たねばならない。

少年vs少年画報
’50年代後半は、光文社の「少年」と少年画報社の「少年画報」の二誌が絶大な人気を得た。’50年代前半からの二誌の主な連載陣をみていくと、「少年」は、江戸川乱歩の小説「少年探偵団シリーズ」(’49年~’62年)、山川惣治連載の絵物語(’50年~’54年)、小松崎茂連載の絵物語(’51年~’57年)、漫画では、福井英一「がんばりガンちゃん」(’50年~’54年)、手塚治虫「鉄腕アトム」(’52年~’68年)、で多数の人気作を抱えていること分かる。一方、「少年画報」は、手塚治虫「サボテン君」(’51年~’54年)、高野よしてる「赤ん坊帝国」(’52年~’53年)、福井英一「小粒べんけい」(’53年~’54年)で、早くも小説、絵物語の連載から漫画中心の編集方針にシフトし始めている。’50年代前半の少年画報は、絵物語の人気連載を抱えていたおもしろブック、少年に発行部数では及ばなかったが、’50年代後半になると小説・絵物語の人気に代わり、漫画が人気になり、その人気に乗って発行部数が上昇し始める。’54年、秋田書店発行の冒険王が「イガグリくん」の連載終了で、発行部数が低迷し始めるとそれ以降の少年誌発行部数№1の座は少年、少年画報の二誌が入れ替わりでその座につくようになる。’50年代後半、少年の連載陣は、手塚治虫「鉄腕アトム」(’52年~’68年)、横山光輝「鉄人28号」(’56年~’66年)、堀江卓 「矢車剣乃助」(’57年~’61年)。少年画報は、武内つなよし「赤胴鈴之助」(’54年~’60年)、河島光広「ビリーパック」(’54年~’61年)、下山長平「イナズマ君」(’55年~’60年)、桑田次郎「まぼろし探偵」(’57年~’61年、’64年~’65年)、堀江卓「天馬天平」(’57年~’61年)。この二誌が児童漫画黄金期を牽引した。


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