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東京トイボックス~日本の製造業が敗北したヒントがこの漫画にあった!~

東京トイボックス
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「いいものをつくるのは何よりも優先される!」という考えは正しいのか?

「東京トイボックス」は、2004年~2005年までモーニングで連載されました。
コミックは全2巻です。
その後、続編の「大東京トイボックス」が2006年~2013年までコミックバーズで連載されました。
こちらは、コミック全10巻です。
2014年にはテレビ東京系列でドラマ化されています。

意外にも、実在のゲームは「ドルアーガーの塔」しかでてきません。
主人公が創ったゲームというのは「samurai kitchen」という
「samurai spirits」の武器が調理器具というものしかでてきません。
ゲームの話というよりかは、クリエイター経営者との対比の話になっています。
ものを造る工場ものを売る営業との対立構図と似ています。

ストーリー(ネタバレ含む)

主人公の天川太陽は、小さなゲームソフト会社の社長でゲームクリエイター。
主人公の名言「仕様を一部変更する!」という言葉が物語の主軸テーマになっています。
いいものができれば、納期が遅れて、人に迷惑かけようが、莫大なペナルティ金を払おうが
お構いなし!というものです。
社長がそんなんだから経営状態が悪く、
ヒロインの月山星乃は、それを是正するためにコンサル会社から派遣されてきます。

この漫画の
前半は、主人公(クリエイティブメイン)とヒロイン(ビジネスメイン)との対立構造で描かれています。
後半は、ヒロインが主人公に取り込まれ、主人公と対立する存在が最大手のゲーム会社へと変貌します。

前半の月山星乃が天川太陽に取り込まれるのは共感できます。
それは、太陽が頑張っていいものを創ろうという思いを最優先して必死になっているからです。
しかし後半になると、太陽の我がままは自分だけでは負えない大きなものへとなっていきます。
それでも、太陽はいいものを創ることの方が優先されるという理念を選ぶのです。

このストーリー展開に、読者は共感しにくいんじゃないでしょうか?

「いいものをつくることは何よりも優先される」という考えは古い!?

皆さんはいいものをつくることを何より優先する!という考え方をどう思うでしょうか?

日本には、「職人」という文化があります。
職人とは簡単に言ってしまえば、
いいものをつくることが第一で、その見返りをあまり求めない文化のことです。
日本は、職人文化があったから高品質な製品をつくれたとも言われています。

いいものをつくることを何より優先する!ということは
少し前までは共感できる考え方だったと思います。
東京トイボックスは、2004年~2005年連載で
この時くらいまでは、100%ではないが主人公の信念に共感できる部分もありました。

しかし、共感できたのは、このときの日本経済は、
今ほど下り坂な雰囲気ではなかったからで、価値観の変革が起きてなかったからです。
安倍首相が掲げたアベノミクス自体もまだありませんでしたし、
自分も含め、まだ日本の製造業は復活を遂げられると、信じていた人も多かったです。
2020年現在では、
今までの日本の製造業の経営モデルは、敗北をした状態になっていて・・・、
共感できなくなってしまいました。

日本のここが世界に比べて凄い!と言って喜んでいる時代は終わった!

いいものをつくることを何より優先する!という考え方
敗北した、かつての日本の経営モデルの考え方で、今では変革が求められているのです。

かつて日本は、高品質で低価格な製品を量産し、世界経済を席巻しました。
それを見ていたアジア諸国は、日本経済の成功をモデルに、
日本までの品質はないにしても、より安価な製品を量産することで日本製品のシェアを奪っていきます。
高品質、低価格な製品を売っていく競争に敗北した日本は
2010年くらいから高価格(ブランド力をつけて)で売っていく方向にシフトしていきます。

天川太陽は、
職人気質に勝るものはないという価値観
(高品質な商品を低価格で売るという価値観)
に染まっています。
このコストを無視した考え方は、景気が良かったときは、
まだいいかもしれませんが、現在では共感しにくいのです。

さらに物語の後半になると、
太陽は、悩んだ末にその価値観を守り抜くために
その価値観を他人へ強要するという決断をします。
太陽は社長なので、それは膨大な残業をしても残業代を出さないという決断です。
しかも、取引先にも強要するので、取引先もサービス残業をするはめになります。

これは、ここ10年間で問題になった働き方であり、
今では、政府主導で是正する方向にあるので、なおさら共感しにくい状況という訳です。

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