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サザンオールスターズ アルバム解説⑮~1995年~1996年 Yong Love~

サザンオールスターズ
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1995年~1996年リリース曲 「あなただけを~Summer Heartbreak~」、「愛の言霊~Spiritual Message~」、他 アルバム「Yong Love」

1995年1月 「奇跡の地球(ほし)」(桑田佳祐、Mr.Children)
1995年5月 「マンピーのG★スポット」
1995年6月 「HAPPY!」(初回限定のベスト盤:3枚組48曲収録)
1995年7月 「あなただけを~Summer Heartbreak~」

1996年5月 「愛の言霊~Spiritual Message~」
1996年6月 「太陽は罪な奴」
1996年7月 「Yong Love」(アルバム)

●Yong Love収録曲
1.胸いっぱいの愛と情熱をあなたへ
2.ドラマで始まる恋なのに
3.愛の言霊 〜Spiritual Message〜
4.Young Love (青春の終わりに)
5.Moon Light Lover
6.汚れた台所
7.あなただけを 〜Summer Heartbreak〜
8.恋の歌を唄いましょう
9.マリワナ伯爵
10.愛無き愛児 〜Before The Storm〜
11.恋のジャック・ナイフ
12.Soul Bomber (21世紀の精神爆破魔)
13.太陽は罪な奴
14.心を込めて花束を

ライブバンドとしてのサザン!いくつもの話題性あるスタジアムライブを敢行!

サザンオールスターズはライブバンドとしても一級です。
毎年、エンターテイメントに優れたイベント性のあるライブツアーを敢行し、
毎年、何十万人も動員することに成功しています。

’94年12月1日、東京・日本武道館で行ったチャリティー公演「Act Against AIDS’94」で
桑田佳祐とMr.Childrenが披露した「奇跡の地球(ほし)」がチャリティーシングルとして1月に発売されると
桑田はミスチルとジョイント・コンサートを開催します。
4月から5月にかけての全12公演という大規模なコンサートでした。

そして、この公演が終わるとサザンオールスターズの活動を再開します。
(体調不良で離脱していたベーシスト、関口和之が約4年ぶりに復帰。)
2枚のシングルと「すいか」に続く初回限定盤の「HAPPY!」(ベスト盤)を発売すると
野外コンサート「スーパー・ライブ・イン・横浜 ホタル・カリフォルニア」を横浜みなとみらい21臨港パークで行います。
このコンサートは8月5、6日の2日間で16万人を動員しています。
会場隣接の国際会議場で、縁日やオリジナルグッズを販売する「南天群星大明神夏祭り」が
開催されるなどフェス感のあるコンサートで、
最後には西城秀樹がサプライズゲストで登場するなど、大成功に終わります。

1996年は、アルバム「Yong Love」の発売と連動して
北海道から沖縄まで全国8都市で15本のスタジアム・コンサート「ザ・ガールズ 万座ビーチ」を繰り広げました。
このツアーは17年ぶりに沖縄での公演が決定され、基地問題に揺れる沖縄をテーマに平和を訴えます。
ステージ脇のスクリーンには、随所で沖縄の風景を映し出され、「平和の琉歌」が初披露されました。

ベテランも第一線で活躍!「Yong Love」は桑田同世代へのエール!

CDの売り上げでみると’90年代はバブル期に突入します。
2000年がピークで、シングルは200万枚超え、アルバムは400万枚超えも出てきます。
もちろん、ミリオン超えできるミュージシャン、バンドは限られていましたが、
サザンオールスターズもその1バンドでした。
松任谷由実でさえ、’90年代後半は息切れしてきたので
ベテラン勢で第一線で活躍できていたのはサザンくらいです。

●1995年~96年 サザン(桑田)売上枚数
「奇跡の地球(ほし)」171.6万枚
「マンピーのG★スポット」50万枚
「あなただけを~Summer Heartbreak~」111.8万枚(フジテレビ系月9ドラマ「いつかまた逢える」主題歌)
「愛の言霊~Spiritual Message~」138.1万枚(日本テレビ系「透明人間」主題歌)
「太陽は罪な奴」37.1万枚(「キリン・ラガー」CM)
「Yong Love」(アルバム)249.4万枚

’90年代はCDは売れましたが、テレビの歌番組は減っていきます。
時代は歌番組からバラエティ番組に移行します。
「ザ・ベストテン」が1989年9月に、
「夜のヒットスタジオ」が1990年10月に終了します。
代わりに始まったのが
「ミュージックステーション」(1986年~)
「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」(1994年10月~2012年12月まで)
「うたばん」(1996年10月~2010年3月まで)
というお笑い芸人が司会のトーク主体の歌番組でした。

桑田佳祐は、’80年代は、いかりや長介がいじってくれるのが
本当嬉しかったと言ってるくらいで、歌番組含めテレビの出演回数もそれなりに多かったようです。
しかし、’90年代の歌番組のトークに絡むのは得意でなかったと言っています。
だからか、「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」、「うたばん」などには、数えるほどしか出演していません。
それは他のベテラン勢も同じで、若い世代とはハンデがあったように思います。
’80年代と違い、売れるためには
歌番組に出るよりもCMや番組の主題歌にタイアップされる方が重要になったと言っても
歌番組への露出も売り上げに影響はあったはずです。

そのような状況下もあって、桑田は同世代へのエールとなる
アルバム「Yong Love」を創ったのかもしれません。

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「Yong Love」解説~洋楽コンプレックスを克服したアルバム!~

40歳を迎えた桑田佳祐は、「Yong Love」について、
「ロック元年の頃(1956年)に生まれた自分たちの価値観や音楽の姿勢は、自分にとって大きな誇り」と語り、
「自分たちの世代を改めて正面からみつめ直し、同じ世代へのエールになるようなアルバムを創った」と言っています。
そのコンセプトはジャケットにも表れ、ロック名盤のジャケットをパロディにしています。

空を飛ぶ飛行船はレッド・ゼッペリンの「レッド・ゼッペリン I」
桑田佳祐⇒ボブ・ディラン「ナッシュヴィル・スカイライン」
大森隆志⇒ビートルズ「アビイ・ロード」
原由子⇒イッツ・ア・ビューティフル・デイ「イッツ・ア・ビューティフル・デイ」
関口和之⇒ビートルズ「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」
松田弘⇒ローリング・ストーンズ「サタニック・マジェスティーズ」
野沢秀行⇒ローリング・ストーンズ「ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト」

収録曲にもレッド・ゼッペリンやキング・クリムゾンへのオマージュを思わせるタイトルをつけています。
これは、「今まで自分のバックグランドを公にするのは、恥ずかしかった。」と語る
桑田があえて公にしたということで、
洋楽に対するコンプレックスがなくなったことを意味します。

それは、周りを見ればB’z、ミスチル、などのバンドが出現し、
クオリティが高い日本語のロックを堂々と創り上げ、自分よりも売れている状況がある。
今までは海外のミュージシャンに追いつこうという気負いがあったが、
もはや、そんなことは必要なくなり、ライバルは彼らになったということです。
(日本語で歌う限り洋楽とは異質なものとなるため洋楽を追い抜くことはない・・・)
このアルバムは、セルフプロデュースということからも分かるように
桑田は、自身のバックグランド、今まで培った技術を全肯定しています。
そして、それらを’96年の感覚に化粧することで、彼らに勝負を挑んだアルバムと言えます。

そのため、このときの桑田の試みは彼らと同質の’96年の音にすることであり、
あとは売れるために振り切って創作をしているように感じます。

「Yong Love」感想~ライバルは小室哲哉とミスチル?’90年代後半、生き残りをかける!~

このアルバムは、このとき売れに売れていた小室哲哉やミスチルの影響があると思います。

’94年発売のTRFの「survival dAnce 〜no no cry more〜」と
ミスチルの「innocent world」は夏を感じさせる極上のロック、ポップソングです。
特にミスチルは、サザンの後継バンドとも思える同系のロックバンドで、
「innocent world」の翌年「シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜」を発売します。
「innocent world」は、まだ桑田の名曲群の方がいいかな?と思っていましたが、
当時、この「シーソーゲーム」の出来は、桑田を超えたと思いました。

そう思っていた翌年、「Yong Love」は発売されます。
ベテランの域に入っている桑田は(小室もそうかもしれませんが)、
青春というテーマで、小室哲哉(TRF)、桜井和寿(ミスチル)のソングライティングに
全く引けを取っていないことを証明しました。
その健在ぶりには驚かせられます。

桑田は、’90年代後半のポップミュージックシーンの生き残りをかけ、
もしくは誰がポップスの王者であるか?証明するために
売れるために振り切って、このアルバムを創ったように思います。
ライバルは台頭してきた小室哲哉やミスチルです。
そのため、性質的には「10ナンバーズ・からっと」や「NUDE MAN」と似たアルバムと言えます。

「Yong Love」が過去のサザン・桑田のアルバムと何が一番違うのかと言うと
このアルバムには、今までになかった清涼感があることです。
このアルバムは南国のオーシャンブルーのような水が小川のように流れているイメージがあります。
(ジャケットの色の印象もあると思いますが)
この洗練された雰囲気は、当時の流行音である小室やミスチルの影響があったように思われます。
サザン・桑田は、アルバム毎に様々な夏をイメージさせますが、
このアルバムの夏のイメージが一番好きです。

そして、このアルバムは収録曲、全ての曲の出来が素晴らしい。
半分くらいはシングルになってもおかしくないクオリティです。
但し、サザンを代表するような曲として
③「愛の言霊 〜Spiritual Message〜」、⑦「あなただけを 〜Summer Heartbreak〜」では
他の名曲群より弱いかな?というのが唯一の欠点です。

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