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サザンオールスターズ アルバム解説④~1981年 ステレオ太陽族~

サザンオールスターズ
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1981年リリース曲 栞のテーマ他 アルバム「ステレオ太陽族」

4月 はらゆうこが語るひととき(原由子ソロアルバム)
6月 Big Star Blues (ビッグスターの悲劇)
7月 ステレオ太陽族(アルバム)
9月 栞のテーマ

ステレオ太陽族 収録曲
1.Hello My Love
2.MY FOREPLAY MUSIC
3.素顔で踊らせて
4.夜風のオン・ザ・ビーチ
5.恋の女のストーリー
6.我らパープー仲間
7.ラッパとおじさん (Dear M.Y’s Boogie)
8.Let’s Take a Chance
9.ステレオ太陽族
10.ムクが泣く
11.朝方ムーンライト
12.Big Star Blues (ビッグスターの悲劇)
13.栞のテーマ

前年に続いてのセールス低迷

1981年は、基本的に前年の活動姿勢を引き継いだ年になりました。
テレビ出演を控え、スタジオで創作活動に没頭します。
しかし、セールスの方も引き継いでしまい、
この年にリリースした2枚のシングルの売上は、
前年よりも酷いサザン史上最低レベルとなっています。

Big Star Blues (ビッグスターの悲劇) 3.3万枚
栞のテーマ 4.0万枚

創作活動に専念した結果、音楽性はさらに玄人化しています。
この年にリリースされた曲は、
前年までの「何か面白いことをやろう!」みたいなコンセプトを除き
音楽性、演奏レベルを上げていい曲を創ろう?みたいなコンセプトの印象を受けます。

この年、サザンオールスターズが他に何をしていたかというと、
夏に全国42ヶ所の大規模ツアー「そちらにおうかがいしてもよろしいですか?」を行っています。
7月にアルバムをリリースして、学校が夏休みに入るくらいからツアーを行う
というスケジュールは、この年から始まりました。

そして、早くもソロ活動を始動させました。
原由子がソロアルバム「はらゆうこが語るひととき」を制作。
桑田佳祐はサザン以外のバンドを集結してライブを行っています。

原由子のソロ活動~シリアスと笑い~

原由子がサザンオールスターズのメンバーで初めてソロ活動に入りました。
1984年4月 原由子のソロアルバム「はらゆうこが語るひととき」がリリースされます。
このアルバムは、評価が高く名盤とされていますが、セール的には失敗に終わります。

収録曲の約半分が桑田佳祐によって創られされ
他の半分は原由子、斉藤誠、宇崎竜童、八木正生らによって創られました。

このアルバムは、大雑把に言うと歌謡曲とAORです。
原由子のヴォーカルが桑田よりも大人びているので
ムードをだすような曲はサザンよりもいいです。
AORぽい曲は文字通り大人の雰囲気がでていて、歌謡曲全開の曲も大人びた艶っぽさがあります。

「はらゆうこが語るひととき」のハイライトは、
やはりシングルの「I Love Youはひとりごと 」です。
「私はピアノ」同様、歌謡曲路線で、個人的にもかなり好きな曲です。
しかし、この曲は歌詞が性的にかなり際どい内容で、
放送禁止指定を受けてしまいました。

原由子のヴォーカルが雰囲気を出していて、大人なムードに仕上がっています。
ですが・・・。
桑田佳祐という人物は、シリアスになってくると、
照れで、かわしたくなってしまうのか・・・、
「私はピアノ」でもそうでしたが、コミカルな要素を入れてしまうみたいです。
曲の途中までは、いい雰囲気だったのに
間奏でいきなりニューハーフ役の語りが入ってきます。
このニューハーフの語りが、かなり笑える内容で、
繰り返し聴けば聴くほど、コミカルソングに変貌していってしまうのです。
このニューハーフの語りを聴いた時点で、
原由子とニューハーフ役の二人がゲイバーに飲みに来ている設定ということが分かります。

この曲は、サザンと同じ事務所のニューハーフであるベティというタレントが
原由子と同時にシングルをリリースしています。
こちらのヴァージョンは、ニューハーフ二人による会話なので
歌詞の内容を理解できるのですが、原由子のヴァージョンは・・・・。
最後、原由子がニューハーフに欲情し襲い掛かるなんて、ギャグ以外何者でもありません。

この年は、原由子に続き桑田佳祐もソロ活動をしています。
自分が好きな洋楽のカバー(1曲のみ自作)のセットリストで
12月にライブを行っています。
このライブ音源は翌年3月「嘉門雄三&VICTOR WHEELS LIVE!」という
題名でリリースされましたが、今は廃番で聴くことが困難です。

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ステレオ太陽族 解説~ジャズ要素を入れた傑作

かなり前のサザンオールスターズのライブですが、
桑田佳祐が「昔、ジャズにハマっていた時期がありまして、
八木正生先生には、よく(ジャズを)教えてもらいました。」と言って
「ジャズマン」、「我らパープー仲間」の演奏に入ったことがありました。
そのジャズにハマっていた時期というのが、この1981年前後だと思われます。

ステレオ太陽族は、その八木正生が演奏・編集面で全面サポートしており、
このアルバムにかなりの影響を与えています。
八木正生はジャズピアニストにして、日本の伝説的なジャズマンの一人です。
’60年代~’70年代は主に映画音楽関連の仕事をしていたようです。
サザンでは「タイニイ・バブルス」~「KAMAKURA」まで関わっています。

サザンには管弦楽器担当のメンバーはいませんが
管弦楽器の音が、かなり入っています。
八木正生は、その部分の演奏・編集を担当することが多かったようです。
八木正生の他に初期のサザンの演奏・編集をサポートした一人に新田一郎がいます。
新田一郎は「熱い胸さわぎ」~「KAMAKURA」までサザンに関わっています。
(ステレオ太陽族のみクレジットされていない)
新田は「ホーン・スペクトラム」というホーンロック・バンドでトランペットを担当し、
サザンでは、演奏・編集では管弦楽器のパートで活躍することになりました。
ジャジィで歌謡曲ぽいのが八木で、ストリングスできれい系の曲を新田がサポートするよう
サザン側が使い分けていたようです。

八木正生の影響なのか、この年のサザンは映画音楽を担当することになります。
それが「モーニング・ムーンは粗雑に」という映画です。
(この映画音楽はサザンだけでなく、八木正生も担当しています。)
桑田佳祐は、映像を見ながら曲を創ったりと、いつもと違う方法で作曲を試したようです。
そうやって作曲され、映画に使われた7曲がステレオ太陽族に収録されました。

なので、このアルバムは、かなりジャズよりの楽曲で占められています。
そして、いくつかのサザンの評論本にも指摘されている通り、
ビリー・ジョエルが元ネタの曲が数曲あります。
桑田は、このアルバムを「全ての作業を比較的満足できたので、
初めて自分たちのアルバムができた気がした。」と言っており、
大衆性は低くなりましたが、音楽性が高いアルバムになりました。

ステレオ太陽族 感想~通しで聴くアルバム~

ステレオ太陽族は映画音楽に使われた曲が7曲収録しているからなのか、
全体的にムード音楽のような印象を受けます。
最初から最後まで通して聴くと、このアルバムは本当にAORだと感じます。
通しで聴くと、ジャズでもAORでもなくなった
⑪の「朝方ムーンライト」、⑫の「Big Star Blues (ビッグスターの悲劇)」の所で
派手になった感じを受け、この2曲が個別に聴くよりも輝きを増します。

一曲、一曲を個別に聴くと、
サザンの他のシングル、他のアルバム収録の名曲群に比べると劣るかなあ?という感想です。
収録曲中では、シングルになった②の「MY FOREPLAY MUSIC」と⑬の「栞のテーマ」が好きですが、これも同じです。

もう一つのシングル⑫の「Big Star Blues (ビッグスターの悲劇)」は
個人的には、悪くはないのですが良くもない、というのが感想です。
ファンクに挑戦したことは凄いと思うのですが、
「栞のテーマ」(8分の6拍子の日本的ノスタルジックな楽曲)を創る人が
ファンクまで優れたオリジナリティを持って創るのは流石に難しかったのでは?
しかし、桑田佳祐は「(栞のテーマも含めて)なぜか売れないんだよね?」と言っているので
会心の出来と満足していたのではないでしょうか?
もしかしたらブラックミュージックに明るく元ネタが分かる人には、
この曲の解釈の凄さが分かるのかもしれません。
個人的好みは置いといて、
この試みは「匂艶 THE NIGHT CLUB」などのタイプの名曲を生み出す下地となりました。

後、好きなのは⑥の「我らパープー仲間」です。
この曲は、歌謡曲のようにボーカルのために演奏があるのではなく、
ボーカルは楽器の一つとして編成されていて、見事にバンド編成の曲となることに成功していています。
①の「Hello My Love」と⑦ラッパとおじさん (Dear M.Y’s Boogie)は
2曲とも楽器演奏が素晴らしく、
こちらは逆にボーカルが邪魔をしていて、ボーカルのパートを少なくすれば、
もっと良かったのでは?というのが感想です。

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