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サザンオールスターズ アルバム解説①~1978年 熱い胸さわぎ~

サザンオールスターズ
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1978年リリース曲 シングル「勝手にシンドバッド」他 アルバム「熱い胸さわぎ」

6月  勝手にシンドバッド(シングル)
8月  熱い胸さわぎ(アルバム)
11月 気分しだいで責めないで(シングル)

熱い胸さわぎ 収録曲
1.勝手にシンドバッド
2.別れ話は最後に
3.当って砕けろ
4.恋はお熱く
5.茅ヶ崎に背を向けて
6.瞳の中にレインボウ
7.女呼んでブギ
8.レゲエに首ったけ
9.いとしのフィート
10.今宵あなたに

「勝手にシンドバッド」の衝撃①/デビュー!ふざけぶりからコミックバンド扱いに!

サザンオールスターズは、1978年6月に「勝手にシンドバッド」でデビューします。
その2ヶ月後に1stアルバム「熱い胸さわぎ」が発売されています。
まずは、「熱い胸さわぎ」にも収録されている「勝手にシンドバッド」の衝撃から話していきたいと思います。

当時、「勝手にシンドバッド」のような日本語で歌う
テンポの速い、お祭り的曲はありませんでした。
そして、この曲のタイトルは、当時ヒットしていた
沢田研二「勝手にしやがれ」とピンクレディー「渚のシンドバッド」を
ちゃんぽんして名づけるというふざけぶりです。
この曲のイメージに合わせるかのように
テレビでのパフォーマンスも
陸上競技用の短パンに上半身裸で登場したり、
ワイヤーに吊るされたり、檻に入れられながら歌わされたり、と
サザンオールスターズは完全に芸人扱いだったようです。
後に、原由子は当時を振り返って「ほんとに嫌だった」と語っています。

このインパクトからテレビに引っ張りだこだったようで
「勝手にシンドバッド」は
当時としては、かなりヒットと言える50万枚を売り上げています。
当時、桑田は「8時だよ!全員集合!」で人気絶頂であった
いかりや長介からドリフターズへの勧誘の話もあったようで、
その人気ぶりが伺えます。

世間ではコミックバンドとしての認知であったことから
大抵の人が、この曲を最後に消えると思われていたようです。

「勝手にシンドバッド」の衝撃②/日本語ロックのスタイルを確立!

「勝手にシンドバッド」は曲名がふざけていますが
実は、このふざけぶりが日本のロックに重要な変革をもたらすことになります。
この曲は、曲名だけでなく歌詞も同じような感じで、
桑田佳祐による造語によって、意味が分かりにくくなっています。
日本語の文法が間違っていようが、だいたいの意味が解ればいいとし、曲のノリを重視したのです。

この曲創りの方法論は、日本語で歌うロックの一つのスタイルを確立させたと言われています。
この曲が出るまでは、日本語はロックンロールのような速い曲には乗らないと思われてきたのです。

1970年に伝説のバンド「はっぴいえんど」がデビューします。
「はっぴいえんど」は、日本のビートルズと評され、
ロックにきれいな日本語を乗せる方法論を確立させたと言われています。
つまり、日本語で歌うロックを創作する場合、
必ず「はっぴいえんど」の影響下にあると・・・。

そんな「はっぴいえんど」中心史観のアンチテーゼとして登場したのが
キャロル(矢沢栄吉)、サザンオールスターズ(桑田佳祐)、でした。
「はっぴいえんど」が確立した日本語ロックも万能ではなく
日本語のきれいな響きをロックのメロディに乗せようとすると曲創りには限界がありました。
初期のビートルズの曲(ロックンロール)のような速い曲だったり、
ローリングストーンズのようなノリのある曲を日本語で創れなかったのです。

そのような曲を創るために
「日本語のきれいな響き」を歌うことに捕らわれない曲創りをしたのが
矢沢栄吉と桑田佳祐です。
矢沢は、日本語と英語のちゃんぽん歌詞を発明し
そして桑田は、矢沢以上に意味の分かり難い造語歌詞を創作します。
さらに何て言っているか聴き取りにくい歌詞で、
(一つの音符に日本語を詰め込むことで)
速いテンポのノリのいい曲を創ることに成功しました。
その曲が「勝手にシンドバッド」です。

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「熱い胸さわぎ」解説

「熱い胸さわぎ」のコンセプトは南国。
サンバ、ボサノヴァ、レゲエ、サザンロック(アメリカ南部のロックジャンル)
多様な南国の音楽を取り入れています。
しかし、どれも日本のポップソングに消化されていて
このアルバムでボサノヴァの曲を聴いて
ボサノヴァと意識するすることはありません。
どれも海外由来の音楽ですが、海外の南国でなく、茅ヶ崎辺りの海沿いを連想させます。

日本人が作曲、演奏するなら日本的でないとなりません。
日本人が海外のオリジナルだけで勝負して彼らを超えることはできません。
サザンオールスターズの音楽はオリジナリティをだすことに成功しました。

①の「勝手にシンドバッド」は桑田が5番目に創った曲。
②の「別れ話は最後に」はボサノヴァ。
レコード会社はこの曲をデビューシングルにしたかったようです。
当時の雰囲気を考慮すると、この選択もあながち間違えってない・・?そうです。
⑤の「茅ヶ崎に背を向けて」が桑田が最初に創った曲だそうです。
(原由子の記憶は違うらしいですが・・・)
ギターソロで、サザンロック的ギターが炸裂しています。
このアルバムでは、結構ギターソロが騒音のように弾かれていて印象に残ります。

このアルバムで、デビューまでに創った曲(リリースできるレベルの曲)を、
全てを出し切ったそうです。

「熱い胸さわぎ」感想

個人的な感想になりますが「熱い胸さわぎ」は
2~3曲捨て曲があるもののサザンオールスターズの全アルバムの中でも、
かなりクオリティが高い方のアルバムだと思います。
特に③の「当たって砕けろ」、⑦の「女呼んでブギ」の2曲が素晴らしい。

「当って砕けろ」は勝手にシンドバッド同様、
歌詞にウォンテッドのピンクレディいじりがあるものの
歌詞のテーマに沿っているので、ふざけた感はありません。
この曲は童貞にとってのバイブル的曲。
片思いで悶々としている男たちにとって、この曲で何人が救われたことでしょう。
明るい曲調で、出だしが
「いの一番に飛んでいきましょ。噂気にするなんてないじゃない。」で
最後は
「キープ・オン・スマイル。ドゥヴィドゥヴイドゥヴィビダン。ウ~ウ~ウォンテッド。」です。
勇気をもらえる曲です。
桑田佳祐は、労働者階級的な曲は創れないけど、
モテない男の代表的曲を創らしたら一級!本当にロックだと思います!

「女呼んでブギ」もモテない男心理を揺るがす名曲。
サビで「女呼んで揉んで抱いていい気持ち」と低俗に歌っていても
冒頭の「あんたに声かけられりゃ、女は迷う~」があるからグッと引き寄せられてしまいます。
モテる男への嫉妬心!そこへの共感があるからなんですね。
メロディは、冒頭から早口でロックンロール調に突っ走っていきながら、
サビの「オ~オ~ベイベ~」で情緒的なサウンドになっています。
これこそ日本のロック!
終盤にかけての原坊のふざけた感じで「もういっちょ~。」の掛け声から
桑田のさらにふざけた感じで何て言ってるか分からない風の「もう、おっぱい。」と
モテない中学生が衝動的に書いたようなメチャクチャナな歌詞にも関わらず、
きちんといい曲になりたっている奇跡的な曲です。
こんな曲ないですよ。

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