ビートルズの凄さ⑨〜アビー・ロードでバンドは伝説に?解散の仕方が凄かった理由〜

ビートルズ

ビートルズが解散するかもしれない!という危機は、私たちが人生で陥る危機と重なる!

ビートルズは何故、他のバンドより普遍性を持って魅了させられるのか?
その理由にバンドの解散の仕方までもが凄かったことが一つにあります。

ビートルズの後期、1968年、69年のポール・マッカトニーは
いくつもの名曲を残し、そのソング・ライティングは神がかっています。
特に’69年に制作されたビートルズのラスト2枚のアルバム
「アビー・ロード」(1969.09.発売)、「レット・イット・ビー」(1970.04.発売)は
ポールの才能が輝いています。

ポールはバンドや知人が危機に陥ると、その才能を発揮するのか、
ビートルズ解散後も似た状況になると優れたアルバムを制作しています。
このラスト2枚は、ビートルズ解散の危機という状況下で制作されました。
ポールの全キャリアの中でも最も才能あふれた時期だったと思います。

今ある自分の心境を直接的に曲にするのは、
ジョン・レノンが得意とする作曲方法ですが
「アビー・ロード」、「レット・イット・ビー」で聴けるポールの曲は、
ポールの心境が直接表れたものとなっています。
その心境とは「バンドが解散するかもしれない」という、
そのままのものですが、
そこには苦悩、挫折、そしてそれを乗り越えようとする
ポールの心情が描かれており、
それは人生を歩む上でのヒントにもなるものとなっています。

ポールにとってのビートルズ解散の危機という状況下は
実際に私たちが、何か物事が思い通りにならない場面に陥ったときと
重なる状況下でもあります。

「アビー・ロード」、「レット・イット・ビー」に
収録された曲は、当時のビートルズが置かれていた背景を知るとより深く理解することができます。
当時の背景とともにポールの名曲を紹介することで
この2枚のアルバムと、いかに解散の方法が凄かったのかを説明していきます。

「レット・イット・ビー」録音時のビートルズの状況

ビートルズ解散前のラスト2枚のアルバムは
発売順からいくと「アビー・ロード」→「レット・イット・ビー」ですが
録音順は逆です。

「レット・イット・ビー」では、通称「ホワイトアルバム」の録音期間に発生した
メンバーの人間関係の亀裂を修復しようと、ボール・マッカトニーが孤軍奮闘しています。
しかし、結果は逆の方向へと動いてしまいます。
ポールが自己主張すればするほど、ポールと他の三人との溝は深くなってしまいました。
この状況を踏まえて、このアルバムを聴くと
当時のビートルズがどのような苦難に立たされていたか知ることができます。
ここではポールだけに絞って、ポールの有名な3曲を創作順に紹介します。

「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」
「前に進もうと頑張ったけど問題がありすぎて終着点が見えない」という歌です。
ポールが当時ビートルズが抱えていた問題を
どうやって解決していったらいいか分からず途方に暮れていることが窺えます。

「ゲット・バック」
「良くない状態から脱して、いい状態(かつていた場所)に戻ろう!」という歌です。
ポールは否定していますが、ジョンとヨーコのことを歌ったものと推測されます。
ジョンには、かつて俺と仲の良かった状態に戻ろう!と、
ヨーコには、ジョンから離れて旦那の元へ帰れ!と、主張しているように読み取れます。
(このときヨーコはジョンと再婚するために離婚協議中でした)
ポールは、ジョンが変わってしまったのはヨーコの影響で、
ヨーコがいなくなれば、昔のジョンに戻り、
かつての順風満帆だったビートルズに戻れると思っていたのかもしれません。
いずれにしても、ポールのビートルズの関係修復を強く願っていたことが分かります。

「レット・イット・ビー」
「苦しいときは、あるがままの状態に身を委ねてみるのもいい」という歌です。
苦境を乗り越えたいけど、どうにもならないこともある。
そんなときは、時間が解決してくれるかもしれない。
前述の通り、ポールはビートルズの関係修復に孤軍奮闘しますが、
そのことがさらに亀裂を深めてしまいます。
一度嫌いになった人からは何をされても「火に油を注ぐ」という状態になりがちです。
ポールは自分が何か言ったり、何かしたりするのを
一旦セーブした方がいいと思ったのでしょう。
関係修復のため、時間をおく(アルバム完成を一旦保留にする)ことを選択します。

「アビー・ロード」解説!とんでもないアルバム!!

結局、「レット・イット・ビー」はビートルズの人間関係の悪化により
自分たちで完成させることができませんでした。
(後に第三者の手によって編集され完成、発売することになります。)
このとき、ビートルズの各メンバーは、
このまま解散してしまうかもしれないと思っていたかもしれません。
しかし、このままビートルズが終わるのを、あきらめきれないメンバーが一人いました。
ポール・マッカトニーです。

ポールは、プロデューサーのジョージ・マーチンと他のメンバーに
もう一度、仲の良かった昔のようにアルバムを創りたいと懇願します。
彼らはポールが今までのようにあれこれ強要しないことを条件に承諾します。
みんな、「これがビートルズ最後のアルバムになるかもしれない」との
思いのもとビートルズは再び集結しました。
こうして創られたのが「アビー・ロード」です。

このアルバムはとんでもないアルバムです。
何がとんでもないか?というと
このアルバムはポールのビートルズ愛であふれており、
それが裏テーマとなって、とてつもない効果を発揮している
からです。

「アビー・ロード」は
ビートルズが解散するかもしれないという事実をつきつけられたポールが、
もう一度だけでいいから昔のようにアルバムを創りたいという願いのもとに創られました。
それはジョンと共作をすることも含まれていたのです。
そして、あわよくば関係を繋ぎとめて、解散を阻止したい。
このアルバムの後半部分は、ポールの曲を中心としたメドレー構成になっており、
曲と曲とを繋いだメドレーには、ポールのそんな思いが込められています。

残酷にもジョンにはそんな思いなどありませんでした。
(そのことは、このアルバム収録のジョンの曲「カム・トゥギャザー」に書かれています。)
なので、ジョンとポールとの曲をつなぐメドレー部分では、駄作になってしまった箇所もあります。
(ジョンとポールの共作作業では、とても仲の良さそうにしていたそうです)

しかし、ポールのビートルズに対する思いは伝わってきます。
後半のメドレーが素晴らしいのは、この強い思いがあったからです。
この思いがなければ、ジョンの言うように
つまらない曲を繋ぎ合わせただけというものになっていたかもしれません。
(ジョンはビートルズに愛情をなくしたために、このような感想に至った?)

「アビー・ロード」最後の3曲は白眉!!!

「アビー・ロード」後半のメドレーのエンディング
おまけ的なラスト曲「ハー・マジェスティー」を除いた最後の3曲が特に素晴らしい。
「ゴールデン・スランバー」
「キャリー・ザット・ウェイト」
「ジ・エンド」
この3曲で締めくくったことで、このアルバム全体を一層輝かせることになりました。
3曲ともポールが創った曲です。

「ゴールデン・スランバー」では
故郷へ帰ろう!そして、そろそろ眠りにつこう!と歌い、
「キャリー・ザット・ウェイト」では
少年よ!きみはずっとその重荷を背負っていかなきゃならない!
と歌っています。
少年とはビートルズの各メンバーのことです。
重荷というのはビートルズのことです。
この二つの曲は終焉、幕引きを予感させ
ビートルズの解散を覚悟したかのような歌詞です。

そして「ジ・エンド」では
リンゴのドラムソロから「ラ~ビュ~♪」というコーラスとともに
ポール、ジョージ、ジョンのギターソロへと流れて
結局、あなたが得る愛は、あなたが与える愛に等しい
と意味深な歌詞とともに締めくくられます。

この3曲を深く知ると、この3曲で締めくくったことは
「アビー・ロード」に輝きを与えただけでなく、
ビートルズの存在自体に輝きを与えたことが分かります。
正にビートルズの最後を飾るにふさわしい曲です。

「アビー・ロード」はビートルズを作品にすることに成功し伝説にした!

バンドの解散という危機に直面し、
解散回避という終着点の見えない状況に絶望したポールは
ジョンの意識をビートルズに呼び戻そう(ゲット・バック)と叫びます。
しかし、結果は変わらず、あるがままに身をゆだねることにします。
そして、自らの頑張りを肯定し解散を決意(眠りにつくことに)します。
もちろん、そのあとも人生は続くので、
ビートルズという重圧を耐えながら生きて行く覚悟をしたのです。

「アビー・ロード」と「レット・イット・ビー」は
バンド関係に亀裂が生じ、解散するまでの心情が分かる作品となっています。
ビートルズが主人公の物語を読んでいるかのようです。

「アビー・ロード」のメドレーのラスト3曲は
ファンにお別れを告げ、幕引きをしたことで
ビートルズというバンドを(デビューから解散までの)物語に仕立て上げ、
一つの作品に昇華させました。

このことがビートルズが他のバンドと一線を画し、
私たちを魅了してやまない理由の一つとなっています。

そして、時が経つにつれ、それは伝説になったのです。

だからと言って、表現は直接的ではなく、
誰もが人生で直面するであろう境遇になぞられる形で表現されています。
それが普遍性を与え、共感しやすい素晴らしい作品となっています。

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