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ビートルズの凄さ⑧~ホワイトアルバムはビートルズ神話を崩壊させたか?〜

ビートルズ
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「ホワイトアルバム」の評価は? 駄作!?傑作!?どっち?

1968年11月、アルバム名「ビートルズ」通称ホワイトアルバムが発売されます。
このアルバムは、ビートルズが初めて音楽評論家から酷評されたアルバムとなりました。
理由は、「ラバーソウル」⇒「リボルバー」⇒「サージェント・ペパー」と
革新的なアルバムを作ってきたビートルズでしたが、
このアルバムで革新的なもの創る競争から降りたような内容になっているからです。

しかし、全ビートルズのアルバムの中で一番好きなアルバムは?と聞かれたら
このアルバムを指す人が最も多いのではないか?と思います。
ロック雑誌で度々行われるビートルズ特集の記事では、
特にミュージシャンにホワイトアルバムを推す人が多かった記憶があります。

このアルバム制作時に、イギリスでは録音のトラック数が
4トラックから8トラックに進化しています。
(ビートルズのデビューアルバムは2トラック録音、歌と演奏とに分けられた)
この録音の進化によって、音がクリアになっています。
このアルバム以前は、録音した音源の上に録音する
オーバーダビング(多重録音)を多用することでトラック数の少なさをカバーしていました。
そのため、音が少し劣化して聴こえるんですね。

そして、8トラックになったことがポールの完璧主義に火をつける形となり
いろんなヴァージョンが試され、テイク数が増えて行きいます。
ポール以外のメンバーは「いい加減にしてくれ」という状況になったようですが
編集が洗練されたことで、捨て曲が極端に少なくなり、リスナーにとっては良かった。
ジョージ・マーチンは、ホワイトアルバムは半分は捨て曲のような発言をしていましたが
ビートルズは、このアルバムから捨て曲がほとんどなくなったと思います。

このヴォリュームで捨て曲がないということが、ビートルズのアルバムの中で
一番好きだと支持される理由の一つではないかと思います。
ただ、革新という角度からの評価では低いということです。

1968年のロックシーンを解説!その中でビートルズはどうした?

’68年のロックシーンは、’66年から始まったサイケデリックロックが
早くもシーンの終焉を迎えつつあり、エリック・クラプトンの登場により
楽器音を聴かせる音楽、特にギターをフューチャーした音楽性へと向かっていました。
その中心にいたのが、クリーム(クラプトン在籍)、
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス、ジェフ・ベック・グループ、などのバンドたちで、
管弦楽器をメインにしたブラッド・スィート・アンド・ティアーズ、などのバンドも登場します。
第二勢力として、ボブ・ディラン、バンド、バーズ、などの
アーティストたちが試みようとしてしていた
土着した音楽(世界の様々な音楽)との融合を図ろうとしていたグループがありました。

そして、第三に「サージェント・ペパー」の上位アルバムを目指そうしたグループがありました。
キンクス、フー、などのバンドは完成度の高いコンセプトアルバムを量産していきます。
しかし、ビートルズは、自分たちが創った、
第三の流れには乗らずに、第一、第二、の音楽性へと舵を切りました。

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ホワイトアルバムの特徴①「世界の音楽を取り入れた手法」

世界の様々な音楽とロックとを融合させるというアプローチは、
意図的に行っていたのか分かりませんが
ホワイトアルバムには多種多様な音楽が入り混じっています。
特に、インド音楽、瞑想(マインドフルネス)などのインド文化へ深く系統したことは先進的でした。
これは、西洋がアジア文化への扉を開いたきっかけとも言われています。
ビートルズは常に文化の先端を走っていたのです。

ジョージ・ハリスンは、1967年2月にインドから古く伝わる「瞑想」に興味を持ちます。
その興味はビートルズメンバーに伝染し、
’68年2月、ビートルズの4人は瞑想の指導者マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーに
瞑想の指導を受けるためインドに訪問することになります。
ジョージとジョンは2ヶ月、ポールは1ヶ月、リンゴは10日ほど滞在しています。

この期間に彼らは48曲を創作し、そのほとんどはホワイトアルバムに収録されました。
自然豊かな環境での作曲は、曲にもその雰囲気が表れています。
そして、この瞑想体験によって、ジョージとジョンは
サイケデリックサウンドの次の段階の曲をいくつか創作しています。

ホワイトアルバムの特徴②「ギター音のノイズサウンド」

ホワイトアルバム第二の特徴は、ノイズサウンドの創作に挑戦していることです。
これまでのアルバムと比較するとエレキギター音が格段にうるさい曲がいくつかあります。
エリック・クラプトン、ジミ・ヘンドリックスが台頭してきた影響もあるのでしょうが
このアルバムで聴こえるギター音は、よりノイジーであることを意識しています。
その代表的な曲は「ヘルター・スケルター」、「レボリューション」(よりうるさいのはシングルの方ですが)の
ギター音は騒音の洪水のようにうるさい音です。

ポール・マッカートニーが「へルター・スケルター」を創ったときの有名なエピソードがあります。
フーの「恋のマジック・アイ」という曲あり、
この曲は「今までのどんな曲よりも激しい曲」というような内容が書かれた記事を読み、
ポールは、「自分たちもやってみたかった、先を越された」と悔しがったといいいます。
でも、その曲を聴いてみると思ったよりも激しい曲と思えず
それなら自分たちで、もっとノイジーでラフな曲を創ろう!となったそうです。
そして、「へルター・スケルター」の方が評価されることになります。

「へルター・スケルター」はハードロック、ヘヴィメタルの
元祖的曲と言われることがあります。
時代的には、フー、ジミ・ヘンドリックス、などの登場で、
激しい曲がどんどん創作されていましたが、まだ開発の余地はありました。
ホワイトアルバム発売当時(‘68年)は、
レッド・ゼッペリン、MC5、グランド・ファンク・レイロールド、
イギー・ポップ&ストゥージズなどの暴力的で激しい曲を演奏するバンドが
’69年にデビューする前夜でした。
そのような状況での、「へルター・スケルター」の発表は評価されました。

グループとしての頂点は過ぎてしまったもののメンバー個人の頂点はまだまだこれからだった!

ホワイトアルバムの低評価の理由の一つは、
自分たちが「サージェント・ペパー」でコンセプトアルバムの芸術性を提示しておきながら
創った曲の寄せ集めにすぎず、統一感、まとまりがなかったからでした。

仮に68年のビートルズが、ジョージ・マーチンの助言を聞いて、
曲数を1枚分に絞り、まとまりのあるアルバムを創っていたら・・・。
「ディア・プルーデンス」、「ロング、ロング、ロング」のような瞑想をコンセプトにしてアルバムを創っていたら?
「へルター・スケルター」のようなハードロックを?
「アイ・ウィル」のようなのどかな曲を?
「レボリューション9」のような前衛的な曲を?
どれか一つにテーマを絞ってアルバムを創っていたら評価の高いアルバムになっていたでしょうか?

本当の意味で、ビートルズの各メンバーが才能を見せつけるのは、
ホワイトアルバムがリリースされた‘68年からになります。
ローリング・ストーンズの黄金期が’68年からの5、6年間だったように
ビートルズの各メンバーの才能が最も輝いた時期も’68年からの5、6年間でした。
この時代のビートルズ各メンバーの作品のクオリティは物凄いものがあります。
なので、まとまりが持てなくなったのは必然でした。
ホワイトアルバムも一つのコンセプトにまとめることは不可能でした。
その代わり、各メンバーの個性を存分に堪能することができます。

ビートルズが解散せず、1968年からの5、6年の間に
この4人の才能を持って、まとまりあるアルバムを何枚も創ることができていたら・・・、
世界を震撼させ、もしかしたら政治をも動かしていたかもしれません。
今以上に世界を変えていたことは間違いないはずです。

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