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「大東京トイボックス」感想~ゲームが子どもに与える影響は?~

東京トイボックス
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モバゲー、eスポーツ流行前のゲーム業界を描いた「大東京トイボックス」!

少し前までゲームは、衰退産業などと言われていましたが
モバイルゲームの出現によって、市場規模は年々拡大しています。
2020年以降、eリーグ(プロのゲームリーグ)が立ち上がっていくなど
日本でも、その規模は増大することは間違いないと言われています。

今、ゲーム産業は注目される産業の一つとなっているのです。

今回取り上げる「大東京トイボックス」は、ゲーム業界を描いた漫画で、
(東京トイボックスの続編)
2006年~2013年までコミックバーズで連載され、コミックは全10巻です。
当時のゲーム業界が舞台となっていて、
今、読み返してみたら当時を思い出し、懐かしくなりました。
(劇中にでてくる「ソードクロニカル」は、「ファイナルファンタジー」がモデルで
主人公がゲームに熱中していたのはファミコンの時代です。)

今は当たり前となっていますが、当時はモバイルゲーム全盛前夜という時代で
専用ゲーム機のソフトがかろうじて人気を誇っていた時代の話です。
連載終わりくらいで、「パズドラ」がブームに。
その後の「星のドラゴンクエスト」、「刀剣乱舞」、「ポケモンGO」、「ドラクエウォーク」の
ブームは皆さんが、ご存じの通りです。

ストーリー(ネタバレなし)

大東京トイボックスは
最高に面白いと思えるゲームを創りたい主人公vs社会に悪影響のあるゲームを悪と捉える経営者
の対立関係で成り立っています。

ここで、おもしろいポイントは、
主人公に敵対する経営者は、
ただ「子どもにとってゲームは悪影響だ」と言って主人公のゲームづくりを邪魔をするだけの存在ではないことです。
詳しくは後程紹介します。

そして二派の間では、「あるテーマ」の答えをだすことで、
どちらが正義かを証明していくストーリーになっています。
そのテーマとは「ゲームは人を殺すのか?」という壮大なテーマです。
それは過去に起きた「ゲームに悪影響されて起きてしまった殺人事件」がもとになっているという設定です。

大東京トイボックスでは、この柱となるテーマの他にも
2010年に改正された「東京都青少年の健全な育成に関する条例」、
2011年に問題となった「コンプリートガチャ課金システム」などの
日本のゲーム業界で実際に議論となった小テーマもでてきます。

最終巻では、「著作権侵害の非親告罪化」とか「TPP(環太平洋経済パートナシップ協定)」とか
より難しい用語も出てきますが、これらは物語とあまり関係ないです。

ゲームが子どもに与える影響について

1990年代、少年犯罪が起きたときに社会心理学者かコメンテイターか忘れましたが
最近の子どもは、ゲームなどの2次元で遊んで育ったので、
「物理的な痛みという感覚が薄いのでは?」というコメントを言っていたのを覚えています。
また、1999年に起こったアメリカの高校銃乱射事件で
犯人の生徒はマリリン・マンソンの作品に影響を受けて犯行に及んだと報道がされたことがありました。
(これは誤報道だったそうですが)

この漫画に描かれている「ゲームは人を殺すのか?」というテーマは
おそらく、ここらへんが元ネタになっているのでは?と推測しています。

東京トイボックスよりも大東京トイボックスの方が面白いのは
このテーマを主軸に置いたからです。
これをテーマに置いたことで、主人公の敵役が悪役になることに成功しています。

ゲームの悪影響を説いた愛すべき敵役(ネタバレ)

前作の東京トイボックスは、主人公の敵が悪役でないので、
主人公が勝負に勝ってもカタルシスを得にくかったのですが
今作は、明らかに敵役が悪役となっています。
なので、物語の終盤、主人公が敵役を倒したときに、共感できるようになっています。

よく、物語は悪役が立たないと面白くならないと言われますが
この敵役は、素晴らしいキャラに成長したと思います。
ただの主人公のゲームづくりを邪魔をするだけの存在ではないのです。

次第に悪になる理由が明かされていくと、敵役に同情できるよう描かれています。
そして、最後の遺言的な台詞が「家庭をつくれ!」です。
親友の家庭も、自分の息子も失った敵役は、自分の幸せだったかもしれない人生を主人公に託すのです。
さりげなく描かれていますが、
ゲームを教育に活かすという次世代の子どもたちのためのゲームの提案もしているというのが・・・泣かせます。

最後に、実際ゲームが子どもに与える影響について調べてみました。
劇中で語られていたように
(捨てられた命もあれば、救われた命もある!)
ゲームの内容によって良い影響も悪い影響も与えるようです。
●参考
「東京大学ゲーム研究プロジェクト」第1回公開講座

この漫画と、この記事を読んで、主人公の敵役が提案していたゲームを教育に活かす!のは
いい提案だったと感じました。
ニンテンドーDSの脳トレなど、数々のソフトがありましたが
次世代ゲームの可能性、教育の可能性を広める意味でも、もっと挑戦すべき分野だと思います。

大東京トイボックス【デジタルリマスター版】(10) (スタジオG3)

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