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信長協奏曲16巻(ネタバレ)感想~信長の日本統治構想とは?~

      2017/11/20

16巻は、1579年6月から1580年10月までが描かれています。
ここまで1巻につき約1年分を描くスペースは守られてきていますが
ここからは数か月単位で描かれていくはずです。
というのも史実では、本能寺の変が1582年6月なので、
信長が亡くなるまで、あと1年半ほどしかないからです。
それとも、どんでん返しで本能寺の変のあとも物語は続くのでしょうか?

16巻で描かれた1年間というのは、信長の新たな天下統治構想が世にしめされた年です。
それは、この1年で信長が行った三つの事柄から読み取れると思います。
それぞれ、本能寺の変が起こった動機にもなっていて、面白いので紹介したいと思います。

①安土城の完成 安土城から読み取れる信長の朝廷改革

1579年に完成した安土城は、これまでの戦闘一辺倒だった役割から政治的な役割が追加された城でした。
16巻内でも安土城の革新性について、描かれていますが
安土城は「五層の天守(主)閣」「城郭専用瓦」「全山総石垣」など初づくしの城で、過去のものとは一線を画した城だったのです。

ここで、信長の新たな天下統治構想として注目すべきは、天守の居住性の高さと天皇との関係を窺わせる「御幸の御間」の存在です。
城郭において、安土城が天守閣というものを一般的にさせましたが、
安土城誕生以降、その不便性から平時に城主が天守閣に住むことはありませんでした。
しかし、信長は平時にも天守に住んでいたと言われています。
そして、「御幸の御間」の存在です。
「御幸の御間」は天皇を迎えるために造られ、天守から見下ろす場所に位置していました。
これは、信長は天皇より上の存在であり、天皇を傀儡とし政権運営を考えていたことを暗に示しているものでした。

「御幸の御間」の存在は、信長が天皇制を否定し、天皇に取って代わろうとしたのではなく、
天皇を傀儡とすることで実質的な日本国王として君臨しようとしたことが窺えるのです。

この安土城の「御幸の御間」の存在は、本能寺の変の朝廷黒幕説の根拠にもなっていて、面白いです。

②本願寺(浄土真宗)を攻略 宗教改革

信長は安土城完成の翌年に11年かかった本願寺との石山合戦を終結させています。
これは、皇族、公家、武家、に続く宗教勢力の台頭阻止に成功したことを意味しています。
当時勢力を持っていたのは、朝廷、武士、寺社、でした。

比叡山延暦寺は、かなり大きい戦国大名に匹敵する存在で、
数千の兵力を持ち、経済的には当時の日本の富のかなりの部分を支配していたと言われています。
延暦寺は、金融業、商工業、流通・運輸業などを取り仕切っていました。
特に金融業では、日本の元締め的な存在で、かなり高い利率で公家や庶民に金を貸し付け、
その武力で、返済不能になったら土地や資産をとりあげていました。

そして、石山本願寺です。
当時、本願寺は延暦寺以上の勢力を誇っていました。
延暦寺と違い、本願寺は勢力を伸ばして日が浅く利権は少なかったものの宗徒の数が違います。
民衆に宗教を普及させ、何十万もの信徒を抱えていました。
本拠の大坂、伊勢長島は商業地で、その地の商業・流通業を支配しており、
加賀国(40万石)はまるまる本願寺が支配していました。
全国の寺から上がる上納金もかなりの金額でした。
このまま勢力拡大を続けていれば、本願寺が天下を取る可能性もあったと思われます。

寺社は当時の最先端の学問を有し、
戦国大名の跡取りは人格形成も含め、高名な僧侶から教育を受けていたので、
各戦国大名は、圧倒的な勢力を持っていたとしても寺社を排除できないでいました。
しかし、信長はこの寺社2大勢力、延暦寺を1571年に、本願寺を1580年に徹底攻略しています。

そして、宗教改革を一段落終えた信長の次の改革のステージは、前述した朝廷改革だったわけです。
改革不可能と思われた寺社を改革した信長ですからもう一つの聖域朝廷も信長ならやり遂げたでしょう。
信長の絶対日本国王への道は着実に現実のものになっていきましたが、
この敵対勢力を徹底的に排除するやり方は、本能寺の変が起こった動機となってしまいます。

③佐久間信盛追放 能力主義人事から恐怖人事(行き過ぎた能力主義人事)へ

もう一つ、この1年間で興味深い出来事は、16巻では描かれませんでしたが、信長が佐久間信盛を追放したことです。

佐久間家は、守護代の分家にすぎなかった織田家に独自の判断で従ってきた元から尾張に勢力を持つ土豪でした。
信盛は、信長が幼少だったころから重臣として仕え、
家督相続問題のときには一貫して信長を支持し、その功績から追放される直前まで織田信長家臣団の筆頭格でした。
身一つで成り上がった羽柴秀吉、明智光秀、滝川一益とは、格が違う存在だったのです。

それが、石山合戦の責任を取らされる形(能力がないという理由)で高野山に追放されたのです。
この信長の他者から見れば理解不能ともいうべき徹底した能力主義政策は
家臣団に明日は我が身という警戒心を与え、明智光秀の本能寺の変を起こした動機の一つになったとも言われています。

今後の展開は?

16巻で描かれた1年間というのは、
信長の新たな天下統治構想が世にしめされたと同時に
本能寺の変が起こる布石があった年でもありました。
その後は、鳥取城、高松城攻略と秀吉の快進撃が続いて行きます。
16巻で小早川隆景が登場していることから毛利が本能寺の変に絡んでいくことになるのでしょうか?

信長協奏曲(16) (ゲッサン少年サンデーコミックス)


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