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「電波の城」6巻(ネタバレ)感想~テレビ業界で生き残れる秘訣とは?~

漫画評

人気クイズ番組の面白さの秘密は、回答者とシステムにあり?

天宮詩織は、角舘ちず子に勝ちその実力を認められ、
ついに丸の内テレビのゴールデンタイムに進出を果たします!
その番組名は「電撃オッペケペー」というクイズ番組です。

回答者は、二チームに分かれて、どちらが勝つかを競うオーソドックスな番組。
メイン司会は元NHKアナウンサーで、
両チームのキャプテンは、女子アナが担当し
他の回答者は三人組のお笑い芸人に、大学教授、下着販売会社の社長、女子高生ブロガー、という面々です。
お笑いトリオは、安田大サーカスをモデルにしているような三人
社長は、東大出のニューハーフで体型からマツコ・デラックスがモデルで間違いなしですが、
大学教授、女子高生ブロガーはどこにでもいそうな感じのキャラです。

明らかにつまらなそうな番組です。
電波の城6巻は2008年発行で、電撃オッペケペーは
脳内エステ IQサプリ(’04年~’09年)かネプリーグ(’05年~)をモデルにしていると思われます。
IQサプリのように、とんちを利かせて解き、少数の回答者でまわすクイズ番組は、
アイドル性があって知名度が高いタレントを使わないと面白くないです。
ネプリーグは、大抵が知名度が高い俳優、アイドルが回答者で、知名度が低い人が出演するときもありますが、
回答者が毎回違うし、回答者の人数も増減するなど、臨機応変に対応しているのが人気なんだと思います。
電撃オッペケペーで出ているような知名度がそこそこの回答者の場合は、
知識力を問うような早く回答できる問題を出題して、大勢の回答者でまわすのが人気番組の主流です。
システムも大勢の中から勝ち抜けていくというシンプルなものです。
クイズプレゼンバラエティーQさま!!(’04年~)、クイズ!ヘキサゴンⅡ(’05年~’11年)、などですね。

局アナは「かわいいだけでも合格!」だが、フリーアナはそれプラスαが必要?

林修先生もバラエティのテレビに出始めの頃はプロの方々の話術に圧倒されたと言っていましたが
詩織もその洗礼を受けることになります。
鯨岡社長は、詩織に「笑顔の素敵な近所のマドンナ的アイドルのイメージで」と指示しましたが
山崎元プロヂューサーは、そんなアドバイスはテレビを甘く見すぎている!と反論します。
「アイドルや女子アナでさえ、お笑いをとれるのは当たり前。
場合によっては下ネタトークにからんで、ノリの良さをアピールできなくてはなりません。」と。

数人だけならともかく10人以上いる番組内で、ここまでできる局アナはみたことありません・・・。
局アナは、かわいいというイメージがあることが最大の武器で
タレントに比べたら安い人件費のため、そつなくこなせさえすれば十分合格なのが現状だと思います。
(そつなくこなすと言っても、メイン司会ができるのか、サブになるのかで大きな違いはありますが)
しかし、フリーアナウンサーはそうはいかないということでしょう?
確かに、山岸舞彩さんはNHKというお堅い放送局の報道番組で
ミニスカファッションで出演し話題になったことがブレイクのきっかけでした。
夏目三久さんは、スキャンダル、有吉・マツコの厳しいツッコミ、などにも平然と耐えながら切り替えしも上手い。
フリーアナウンサーは、かわいいだけではダメで、何かプラスαの個性が必要のようです。

ということで、今巻のテーマは「テレビ業務で生き残って行くには?」です。

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人気タレントは、それぞれキャラクター化している!

劇中、山崎元プロデューサーは、現状のバラエティ番組やトーク番組に主演するタレントたちは、
「それぞれにキャラクターを演じないとならない。」と語っています。
「トークの瞬発力、リアクションの速さ、の技術があるのは前提条件で
ボケ役、ツッコミ役、キレ役、なだめ役、おだて役、などポジション化されている。」
と、それぞれの役(キャラ)を演じないと、視聴者が分かりにくいため、人気が出ないそうです。

◎キャラクター的手法の先駆的番組「ニュースステーション」
さらに山崎は、キャラクター的手法が明確に使われたのは、
1985年から始まったテレビ朝日の「ニュースステーション」だったと言います。
メインキャスターの久米宏さんは、ニュースを世間話のように軽いノリでチャチャを入れる「お父さん」キャラ。
サブキャスターの小宮悦子さんは、それをフォロー、あるいはツッコむ「お母さん」キャラ。
御意見番は、小林一喜さんという朝日新聞論説委員という熟年解説員で、「おじいちゃん」キャラ。
で、家庭的キャスティングで視聴者に親近感を抱かせた・・・と。

しかし、これは個性的なキャラを配置した結果であってキャスターがキャラを演じた訳ではないと思うのですが・・・。
マンガ、アニメ業界では、「キャラを起てる」という言葉がよく聞かれます。
漫画家は、キャラについてはテレビ業界の人以上に解っているはずで、だからキャラクター論を引き合いに出したのかもしれません。
確かに、結果論であってもニュースステーションはキャスターがキャラクター化した最初の報道番組ではあったと思います。

テレビ業界のキャラクター論

せっかくなので、マンガのキャラクターとテレビタレントのキャラクターとを比較してみたいと思います。
マンガ原作者の小池一夫先生の「キャラクター新論」によると
スーパーキャラクターをうむには
1.外見…ファッション(特別な道具を持つなどして)を特徴づける。
2.内面…長所、短所、くせ、しぐさ、に特徴を持たせる。
だそうです。
もう少し具体的に言うと、必ずライバルをつくる、あらゆる知識をキャラクターに活かす、
などなど他にもたくさん書いてありましたが、一言で言えば「特徴づける」ということです。

人気テレビタレントが上に挙げたマンガのキャラのように当てはまっているかというとどうでしょう?・・・。
最近のテレビを観ていると、まず外見では、
筋肉芸人は筋肉を維持していますし、デブキャラは決してやせません、
そして、ハゲキャラも育毛しませんし、メガネキャラもメガネを外していませんね。
〇〇キャラ枠というのがあるというのもテレビで度々聞きます。
内面では、オカマキャラ(話し方がやわらか、ファッションに秀でてる)
キレキャラ(ツッコミにツッコム)、毒舌キャラ(気の弱い人が言えないことを代弁してくれる)、
草食男子キャラ(周りへの気遣いが上手い)、おバカキャラ(視聴者が共感やバカにしやすい)
などなどの特徴を活かしたタレントが多いです。

確かに人気のあるテレビタレントはキャラ化されているようです。
今や、視聴者に愛される芸能人は、歌が上手いとか、漫才が上手いとか、
技術に秀でているだけではダメで、明確なキャラ化を成し遂げた人だということのようです。
しかし、愛されるキャラ化を成功したのは、
自分の個性を全力でさらけだした結果であって、決して演じて達成できるほど甘くはないと思います。

電波の城(6) (ビッグコミックス)


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