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「電波の城」23巻 最終巻(ネタバレ)感想~痛烈なメディア批判!~

漫画評

衝撃の結末!
そして、メディア論のテーマ性も存分に詰まった内容!
「電波の城」23巻、最終巻の感想です。

23巻のあらすじとテーマ

23巻のあらすじは冒頭、
本城律子と中央テレビ社長の烏丸とのテレビ局についての議論から始まります。
烏丸社長は、「テレビ局もふつうの大企業と同じで利益を追求し長く生きながらえることが第一だ」と言います。
対して本城律子は「これからの日本は無料で観れる民放の統合と削減が必要」だと言っています。
無料の民放は三局でも多すぎ、腐敗した局は撤退するべきで電波利権の再分配も必要だと。

この冒頭のやりとりは、本城律子が正論を語ることで
烏丸社長(=現在のテレビ局)が正義感も何もなく保身しか考えないことを
読者に印象づける役割があったと思います。
そして、この現在のテレビ局の在り方が主人公の天宮詩織の人生を
狂わせていってしまった要因だというラストにつながって行きます。

現在のテレビ局の在り方(利権に群がって生き残ることしか考えない)というのは、
この最終巻というよりも、「電波の城」自体のテーマになっています。
このテーマとは具体的に何かと言いますと、最後に詩織が言っている台詞
テレビ局の「隠蔽と傲慢に慣れ、弱きをくじき、自らを助くとう体質!」
ということになります。
弱きとは、犯罪組織のトップに君臨していた親の子として生まれたというハンデがある天宮詩織のことです。
テレビ局の隠蔽と傲慢とは、烏丸が行った自分の都合が悪いことは報道しなかった!(=隠蔽した)ということになります。

規制された公共の電波という利権を使用しているメディアが
自分に都合がいい(利益になる)ことしか報道せず、
自分に都合が悪い(不利益になる)ことは報道しないというのは
報道の公共性を欠く行為です。

これは、実際にテレビを観ていて、私たちも度々感じることではないでしょうか?

報道しない自由!

報道は、国民が知りたいことではなく、メディアにとって都合のいいことしかしない!
出版社がスクープしたネタがもとで何度、閣僚が辞任したでしょう?
それを公表するかしないかは、メディア各社の判断次第です。
メディアは報道する自由がある一方で、報道しない自由もあると主張します。

東国原氏が宮崎県知事だった頃、メディアへの定例報告会で
東国原知事が、何度も行政の時間を割いて報告してもメディアが公表しないので
意味がないと思ったのか「この報告会を止めたい!」というような発言をしたことがありました。
それを聞いたある記者は、
「報告を聞いて公表するかしないかは我々メディアが決めるので報告は続けろ!」
と発言をしていました。
これはメディアの態度を表した一言だと思います。
どんな形であれ、報道はすべきだと思います。
メディアに一般人は知らなくてもいい!暗に情報操作できるおごりのようなものを感じます。

最近では、ベトナム戦争で韓国がベトナム人を慰安婦にしていたという
山口敬之氏のスクープをTBSが報道しなかったという事件もありました。

メディアに都合がいいように嘘を報道することも!!
ひどいことには、メディアが真実を伝えていないこともあります。
朝日新聞は、従軍慰安婦問題について30年以上にもわたって誤って記載し続けていました。
この誤りがもとで日本は、朝日新聞社が倒産したくらいでは収まらない損害を被ってしまいました。

また、やらせ問題もあります。
メディアが報道したい方向の情報が収集できないと、その情報をつくってしまう(=やらせ)やり方です。
報道番組で、街中で政治問題などについてインタビューに受け答えしているシーンをよく見ると思います。
そのインタビューに答えている人は役者ではないか?と話題になったことがありました。
同じ人が時間をおいて何度か違う話題のインタビューを受けているのが、ネットで検証されていました。
しかし、その真偽を視聴者は確かめる術はありません。

フジテレビの「発掘!あるある大辞典」、「ほこxたて」という番組内でやらせが発覚したことがありました。
この二つの番組は報道番組ではないので、別の問題にはなりますが、
メディア側に真実を伝えなくてもいいという倫理観があったからこそ、発生した問題です。

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メディアの権力と腐敗

7月2日(日)の東京都議会選挙で、自民党が歴史的惨敗をしました。
その原因の一つは、メディアが行った反自民、反安倍内閣報道にあります。
稲田朋美防衛大臣、豊田真由子議員、加計学園の問題など
反自民報道をメディアが大々的に取り上げたことで、自民離れが加速しました。
自民党の代わりに大勝したのがメディア受けのいい小池知事の都民ファーストでした。
おそらく、テレビの影響を受けやすい高齢の方が多く選挙に行ったこともあると思われます。

メディアがどう報道するかによって、政権は代わりうるということです。
アメリカ大統領選でも、ヒラリー・クリントンの私的メール問題を
メディアが大々的に取り上げたことがドナルド・トランプの勝因になりました。

民主主義という世界では、「メディアが巨大な権力を持っている」ことを認識させられます。
これだけの大きな権力を持っているにも関わらず、国民がメディアを監視できるシステムがないことは問題です。

電波の城は、腐敗したメディアに痛烈な批判をしている!

電波の城23巻で本城律子は
「無料の民放は三局でも多すぎで、民放統合、削減が必要」
「さらには腐敗した局は撤退し、電波利権の再分配も推し進める」
と言っていましたが、実際に、このようにテレビ改革をスローガンとして掲げる政治家が現れて欲しいものです。
現在の日本のテレビ局(民放四局)は、どれも反政府報道の局しかなく、
こんな状態では四局もいらず、半分に減らすべきで
残りの二局を政府支持の報道局に入れ替えた方が公平性が保たれると思います。

このようにメディアについて少しでも考えることになったのは、電波の城を読んだからです。
電波の城は、痛烈なメディア批判をしていますが
それはフィクション(エンターテイメント)にすることで、
カモフラージュされているところがいいです。
このような傑作をテレビ局にも創ってもらいたいものです。

電波の城(23) (ビッグコミックス)


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