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大長編ドラえもん9巻「のび太の日本誕生」感想・考察~日本人の起源に迫る~

大長編ドラえもん

大長編ドラえもん9巻は、みんなで家出をする話です。
そして、日本人の起源を探る旅の話でもあります。

藤子F不二雄先生は、この9巻までで自分が興味を持っていた
人類が究明するべきような謎をあらかた書き尽くしてしまったのだと思います。
これ以降は、どちらかというと人類が犯した罪をテーマにしています。

史上最大の家出をしよう!!

学校でも家でもしかられてばかりの、のび太は声高らかにこう宣言します。
「実は前から密かに考えていたんだ!誰にも頼らず自分の力だけで自分の人生を生きてみたいと!!」
しかし、のび太はいろんな土地にキャンピングカプセルを建てて数時間住んでみると
日本のどこに行っても誰かの所有地になっていて、勝手には住めないことに気づきます。

いつも遊んでいる空き地⇒個人
いつも昼寝している裏山⇒県?
不便で見捨てられた村⇒国?
といった具合です。

そこで誰も住んでいなかったであろう7万年前の日本に家出をしようということになります。

人間がいない7万年前の日本に自分たちだけのパラダイスをつくろう!!

7万年前の日本に来たのび太たちは小学生でいう秘密基地をつくる計画をたてます。
秘密基地といってもどこまでも使える土地とドラえもんの道具があるので規模が違います。
もはや国といってもいいです。
力持ちジャイアンは、建設大臣となってシェアハウスをつくることに。
グルメのスネ夫は、農林大臣になって食事係に。
お花好きのしずちゃんは、環境庁長官になってガーデニングをすることに。
何もできそうにないのび太はというと・・・ペットをつくる係に。
(のび太はちょっとした工夫で、ペガサス、グリフォン、ドラゴンをつくって大活躍することに)

それぞれが自分の思うように役割を果たしていきます。

7巻、8巻は、こういった「みんなで何かをやって楽しもう!」みたいな描写が
あるにはあるんですが、個人的に共感しにくかったです。
今作は、2巻ぶりに、子どものときにやってたら絶対に楽しいと思える
「やってみたい--!!」こと全開な描写で、いつ読んでも小学生に帰ります。

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「神隠し」の謎

「のび太の日本誕生」は冒頭、一人の少年が
7万年前の中国、和県(ホーシェン)で神隠しにあい
20世紀の日本に飛ばされてしまったことから始まります。

日本では古くから大自然の中に神・霊魂の存在が信じられており、
行方不明者は神域に消えたと考えられてきました。
それを神隠しといいます。
行方不明者をださないように神域と現世の端境を設け、
結界としての注連縄が張られたり禁足地にしました。
今作では、日本の事例でなく世界で起きた事例を紹介しています。

何の前触れもなく突然人間が消えた事例
◎1593年10月
マニラ知事官邸を警備中の兵士が消え、いつの間にか
一万四千四百キロ離れたメキシコ宮殿前に立っていた。

◎1809年11月
オーストラリアでイギリス大使が秘書や従者の前で消えた。

◎1913年
アメリカ人作家のアンブロース・ビアスが、
行き止まりの洞窟に入ったきり二度と現れなかった。

◎1915年8月
トルコのガリポリ半島でイギリス軍の一部隊が
丘の上で雲に包まれ消滅した。

◎1937年12月
長江の橋のたもとで作戦行動中の中国兵三千名が消えた。

これらは、「のび太の日本誕生」で紹介された事例です。
このような話は人伝えに聞いた話で、消えた瞬間を目撃していないことが
ほとんどだと思いますので、事実なのかは疑問です。
(マジックで実施した可能性はあります)
今作では、これらの原因は突然あらわれた異次元空間に引き込まれてしまった?としています。
現在の日本では、毎年10万人が行方不明となっています。
恐ろしいことに、これだけの人が何らかの理由で自ら蒸発したか、何らかの事件に巻き込まれているのです。

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日本人はどこから来たか?日本人の起源に迫る

「のび太の日本誕生」は1988年発表で、資料が古いために最新の日本人起源説とは違いがでてしまっています。
その違いも記載しながら最新の日本人の起源に迫りたいと思います。

人類が日本にやってきたのは3万8千年前~3万5千年前?
人類(ホモ・サピエンス)は、アフリカで20万年前にうまれ
10万年前にアフリカ大陸を出たとされています。
そして、日本に3万8千年前~3万5千年前に到達したとされているようです。
日本で人類が使用された石器がきちんと確認できるものは3万5千年より前で、
それより前は不確実とされています。
そのため、人類が日本にやってきた年代には、諸説あります。

「のび太の日本誕生」では資料が古いのか、3万年前の石器が発見されていると記載されています。

日本人はどこからやって来たのか?
日本への入り口と想定される三つのルート
①「対馬ルート」朝鮮半島⇒対馬⇒北九州
②「沖縄ルート」台湾⇒与那国島⇒南九州
③「北海道ルート」樺太⇒北海道

人類は日本へ、この三つのルートから来たとされています。
4万年前~3万年前は、今よりも寒く海水が極地で凍りついて海面が下がっていたため
日本と大陸は陸続きで、長らく日本人は歩いてやってきたと思われていました。
しかし、最新の研究で日本への「入り口」になった対馬、日本最西端の与那国島も大陸とつながっていなかったことが判明しました。
最大海水位低下のときでさえ、本州・九州・四国は一体化していましたが、大陸とはつながっていなかったようです。
(北海道は大陸と陸続き。しかし、北海道と本州はつながっていなかった。)
つまり、日本人は歩いてではなく、船でやってきたのが最新の定説になっているようです。

「のび太の日本誕生」では大陸と陸続きになっている記載があり、これも資料が古いです。

日本人の起源に迫る
日本にやってきた三つのルートの中で一番古いのが
①「対馬ルート」で3万8千年前と想定されています。(海部陽介氏)
このルートでやってきた人々はどこからやってきたのでしょうか?
現在までに世界に分布している人骨遺跡から遺伝子を調べた結果、
日本人の遠い祖先は、4万年以上前にビルマ近郊にいたことが分かっています。
そこから中国⇒朝鮮半島を渡ってやってきたとされています。

「のび太の日本誕生」で、日本人の祖先となった村は7万年前の中国の和県です。
和県は「ビルマ近郊⇒中国⇒朝鮮半島」ルートの途中で、これは最新の説と辻褄が合っています。
7万年前という数字は、現在までにビルマ近郊で発見されている人骨遺跡でも4万年前なので
少し乖離しすぎてしまっている感じはありますが、夢があっていい終わりかただと思います。

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