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「冬物語」原秀則 5卷(ネタバレ)感想・考察

冬物語
「冬物語」原秀則 5卷(ネタバレ)感想・考察

5卷の感想を1話ずつ述べてきます。

冬物語5卷

第43話 ニセ予備校生入門
親に内緒で休学した光。
光が一人で勉強できないこと知っている奈緒子は、予備校で勉強することを勧めます。
「そんなお金はない」と言う光に
奈緒子はモグリで予備校に通う方法を教えます。
「もし・・ばれたら?」と聞く光に奈緒子は
「だいじょーぶ。わたしが2年間やってて一度もバレなかったんだから」と。
数回程度ならともかく毎日同じ予備校に通って授業料払っていないなんてばれます!

第44話 この場所から
しおりと圭一の話で、圭一に別れを切り出された場所で待ち合わせして
今度こそはうまくやろう!というしおりの決意を描いた話。
この二人の話が面白くないのは、圭一に魅力がないからです。
原先生は、圭一を人間味のあるキャラとして描いていません。
圭一は、ストーリーの都合を合わせるだけの登場人物となってしまっています。
3卷までの圭一は、しおりと寝れないからという理由で別れることを選択します。
この理由も「しおりと別れる」という物語の都合上、創作されたと感じてしまいます。
それも4卷で圭一は、しおりとヨリを戻すのですが、その理由が描かれてないからです。
44話でも圭一には人間味を感じられません。

第45話 好きだから・・・
しおりは、やっと圭一と一線を越える決意をします。
これで、しおりと圭一に別れる障害はなくなりました。
しおりは、圭一と付き合っていくんでしょう。

第46話 再会の街かど
もぐりで予備校に通っている光は、偶然しおりと再会します。
圭一とうまくいっているしおりは、東大を目指す熱意を取戻し予備校に通いだしたのです。
光はしおりに散々にふられているので、ただ予備校に来ただけのしおりですが
なんで現れるんだと思ってしまいます。

第47話 もしかして、今度は
再び、予備校の授業で光と出会ったしおりは
光が受けている授業(奈緒子が勧めたのですが)がいいので
かわいい顔で光と一緒に受けたいと言い出します。
しおりは、何より優先して圭一が好きなんです。
それなのに何か月か前に告白された(しかも二度目)光と
二人で授業を受けようとするしおりの神経がわかりません。
しおりがそんな態度なので光は、また期待を持ってしまいます。
期待を持ったはいいけど、圭一と付き合っていることを知り落ち込む光。
光は、しおりを忘れようと奈緒子に会いに行くけど、奈緒子は留守・・・。
二人して不快な行動をとるので読んでいてイライラしますね。

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第48話 パワフル現役高校生
高校3年生の高山淳が登場。
淳は、2浪して日東駒専を目指している光に
「日東駒専レベルなら現役で入んなきゃ」とか
光の前で奈緒子に「(早稲田・慶応に)受かったら俺に乗り換えてよ」とか
光を挑発しまくりで生意気。

第49話 ゴーインな約束
淳は、奈緒子は、海まで原付でドライブに行きます。(二人乗りは違反なんですが・・・)
そこで淳は、再び来年合格したら付き合って欲しいと奈緒子に伝えます。
奈緒子は「こんな約束で合格できるんだったら付き合ってあげる」と淳を喜ばせます。
受験の辛さを知っている人だからこその台詞です。

第50話 今日で最後だから
淳はズカズカと光の懐まで入り込んできます。
どこで知ったのか光が受けている予備校に乗り込んできました。
そこで、再びしおりと再会。
光は「やっとふっきれたと思ったのになんで再び現れるんだよ?」と思います。
しおりの存在を知った淳はニヤついて光と別れます。

第51話 9月の決心
実家に帰るはずだったしおりは、
圭一に呼び止められ同棲を続けることに。
一方、淳はしおりの存在を奈緒子に暴露します。
奈緒子は、光に真意を聞きに行きますが、光は気まずさでうつむいたまま何も話せません。
その態度で全てを理解した奈緒子は、何も聞かず帰ってしまいます。

光に愛想がつきたような行動です。
奈緒子は、3卷のクリスマスパーティに光が来なかった回から
ずっと光に対して冷めているように描かれていて当初の魅力がなくなってしまっています。
奈緒子は光が好きなんだからもっと、悩んでいる描写が欲しいです。
本当に光に冷めているなら奈緒子の性格上、すでに別れていると思うので。

第52話 最後のもう一度
光は、親にだまって八千代商科大を休学していましたが
大学から家に郵便で通知が来たために、親に休学がばれてしまいます。
高い入学金まで払って入学したのに黙って休学するとはどうゆうことなのか?
2浪もするお金の余裕があると思っているの?
来年は、弟の輝も受験。受験料、入学金を二人分払うお金がどこにあるの?
と母親は泣きながら説教します。
それでも光は八千代は嫌だと。日東駒専で大学生活を送りたいと。
光は、わがままを通します。

家にお金の余裕がなくて大学に行けない人もいるのにと
光のわがままには嫌悪感を抱いてしまいます。
完璧な人間なんていないので子どもは親に迷惑をかけるものですが
光のやり方はアンフェアです。
しかし、今回改めて読み直したら違った感想を持ちました。
他人から見れば光の行為は許されないように感じますが
親にしたら例え理不尽な要望であっても人生を左右する子どもの決意には
応えたいと思う親が大半なのではないでしょうか?
母親は感情的になってお金は工面しないと言って出ていきますが
父親は家計が苦しくても工面できるのでお金の心配はするなと言ってくれます。
52話は、親としての対応、父親と母親の対応の仕方の違いなど、
妙にリアルで、親に感謝しなければならないと思わせる話になっていて、傑作です。

第53話 危険な二人
淳は、偶然しおりが圭一と同棲していることを知り
奈緒子に報告に行きます。
光は圭一という彼氏がいてもしおりのことが好きで、
自分は、その光のことが好きだという状況に
奈緒子はイラだちます。
そこで奈緒子は何も言えない光ではなく、しおりに会いに行くことに。

淳は、完全に光と奈緒子の仲をかき回してる役になっています。
かき回し役なのはいいんですが、
実際に二人を別れさせることに成功しそうな展開になってしまうと
生意気なのも手伝って完全に悪役といった感じで好きになれないです。

第54話 くやしいけど・・・ね
奈緒子としおりの久々の再会。
しおりは、奈緒子が光のことを好きだと知っていながら
光が自分のことを好きだと知っていながら
東大に受かるために光を利用して、二人を傷つけたことを認識していました。
それを聞いた奈緒子は不快になるも
しおりを責めるようなことは言わず帰ろうとします。
ここでも奈緒子は達観したような行動をとります。
(受験の辛さを知っているからしおりが光に甘えるのも仕方ないと思ったのか?
自分の立場なら光を責めるべきで、しおりは関係ないと思ったのか?)
奈緒子が帰ろうとしおりに背を向けたとき
しおりは
「私は光くんのこと、なんとも思っていませんから」
「光くんとは友達の関係でいたいと思ったらから・・・」
「奈緒子さんに迷惑かけるようなことしませんから」
と奈緒子に言います。
さすがにこの発言には火がついた。
奈緒子は、振り向くと同時にしおりの頬に平手打ちをくらわせます。
光は、しおりちゃんのこと好きなのにそんな言い方は可哀想だと。
くやしいけど・・・光はしおりちゃんのことが好きなんだと。
くやしいけど・・・。

5卷まとめ
5卷のハイライトは最終話の「第54話」です。
今まで奈緒子が自分の感情を出すのを抑えていたのは、
この回のしおりへの平手打ちを衝撃的にするための布石だったことがわかります。
54話だけの感想を言えば、5卷のしおりは完全悪役で、
奈緒子がやっと本音を出したのがこのタイミングなので確かにスカッとします。
しかし、これまで光の奈緒子への裏切り行為を知っているので
奈緒子が気持ちを抑えている期間が長すぎて5卷はストレスを感じてしまいます。

もう一つ。
4卷、5卷と登場人物全員の心理が冷めていく印象で益々キャラに魅力がなくなっています。
54話も光のことが好きなら奈緒子は涙くらい流したっていいのでは?
ストーリーとしては、奈緒子としおりとの対決のようなハラハラものの展開で
盛り上がっているはずなのですが
いまいち物語に入っていけないのはキャラ心理に同化できない部分が大きいからです。

冬物語(5) (ヤングサンデーコミックス)

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