「冬物語」原秀則 3卷(ネタバレ)考察・感想

冬物語

3巻を1話づつ感想を述べていきます。

冬物語 3卷

第21話 ほどけた指
扉絵がいいです。
高校生時代のしおりと圭一がだだっ広い野原に走る線路の上を
楽しく歩いています。
21話は、圭一がしおりをふる話で、ただただ暗いです。
大学生と浪人生が付き合うのは確かに障害がありますが
圭一は、しおりにもう少し気を使ってくれても・・・という話になっています。

第22話 重い夜明け
ふられたしおりがこれからどーしようと途方に暮れる話。
ますます暗くなっていきます。
一方、光と奈緒子は、光の友達の桂と三人で楽しく飲み会。
昼間勉強しているんならいいんですが・・光・・大丈夫?
奈緒子は、要領いいのでおそらく昼間勉強してたんでしょう。

第23話 遠い青空
冒頭、外に出る時しおりが空を見上げています。
しおりが感傷的になっているのを上手く表現していますね。
こーゆうときは、いつも見ている風景も違って見えるんです。
さて、23話は、しおりが偶然光と同じ電車に乗り合わせ
第2話のときと同じく二人で東大の赤門に辿り着きます。
赤門の前で「こっちが東大で、こっちが東大じゃない」と言うしおり。
何のために東大に行くのか?
今まで血の滲むような努力をしてきたのは、圭一と同じ学校に行きたいというだけの理由。
でも、浪人の苦しさを一緒に励まし合ったのは光。
辛いときは、いつも光がいて、今回も隣にいるのは光。
しおりは、現実の辛さから逃避するために
「東大(と圭一)をあきらめる!」と友達(光)に愚痴をこぼして発散します。
ほんとに東大まであきらめちゃうの?と光じゃなくても心配してしまいます。

第24話 とまどいのクリスマス
奈緒子からクリスマスパーティをやろうと提案されるも
光は、しおりちゃんがクリスマスの日に北海道(実家)に帰ってしまうことを知る。
しおりちゃんが東大を本当にあきらめたか気になって仕方ない光は
クリスマスの日に奈緒子とのパーティではなく、
しおりちゃんの見送りに行ってしまいます。
光は、人生にどうでもよくなって落ち込むしおりに
「東大受けなきゃだめだ」とか「俺、待っているから」とか
自分の思いをぶつけます。
結果、しおりちゃんは励まされる形になります。
一方、クリスマスパーティをすっぱかされた奈緒子は・・・。
(恵比寿駅までしか見送りしていないんだから、
その後パーティに行っても充分間に合います。
完全にしおりちゃんに心動かされたということなんでしょう)

第25話 雪降る夜に
北海道(実家)に帰ってしまったしおりちゃんが
帰ってくるか心配で仕方ない光。
毎日、しおりちゃんの家に行っては帰ってきているか確認します。
しおりちゃんがいないと知ると奈緒子の家に向かう光。
あれだけ奈緒子に酷いことをしてよく奈緒子に会えると思いきや
信じられないことに奈緒子が口きいてくれないと桂に相談しています。
光の中では、奈緒子が本気の告白をしたことがなかったことになっているのでしょうか?
そして、とうとう共通一次の前日、しおりちゃんが帰ってきました。
雪降る夜、何時間も待っていた光には、しおりちゃんが天使に見えたことでしょう。

第26話 つきそい共通一次
しおりが帰ってきたことが嬉しくて仕方ない光は
しおりの受験会場まで付き添います。終わった後も会場の前で待っている光。
とまどいながらもしおりは、こんなに応援してくれている光に救われます。
光にもチャンスが巡ってきたか?
いや、何の努力もしてない人間にチャンスは巡ってきません。
光がしおりを忘れられないように
しおりは圭一のことを忘れることはできないのでした。

第27話 つきそい奈緒子
光にまだしおりへの想いが残っていることを知った奈緒子は
光と距離を置きます。
しかし、受験前日に光は高熱をだしてしまいます。
見舞いに来る桂。そして桂は奈緒子にも連絡していました。
見舞いに来た奈緒子は、光が自分と同じ大学(慶応)を受験しないことを知って
光が自分のことを好きじゃないと確信してしまいます。
(光は奈緒子に好きなこが東大をめざしているから東大を目指していたと告白している)
でも・・・熱を出してる光が心配で光の試験に付き添う奈緒子。
奈緒子は優しいというか、そんなにも光が好きなんですね。

第28話 合格してやる
28話で、奈緒子が2浪までして慶応にこだわっていた理由が判明されます。
奈緒子の父親は医者で、兄姉二人は慶応の医学部に入学(卒業?)しています。
奈緒子が2回慶応の医学部に落ちたことで
奈緒子の両親は、奈緒子を医者にさせることをあきらめるのですが、
そのことで奈緒子は、家族の中で自分だけが落ちこぼれだという劣等感を持ってしまいます。
今度は受かるからと両親に2浪させてもらっていたのです。
今度こそは絶対に受かって両親を見返してやると誓う奈緒子。
慶応の医学部の試験日は20日。
20日は光の合格発表日だったため、気を使って本命の試験日を光に伝えません。
因縁の試験は、奈緒子一人で参戦です。

第29話 八千代商科大、再び
慶応医学部の二次試験を終え、ホッとする奈緒子。
一方の光は、駒澤、専修、日大と落ちてしまします。
しかし、大東亜帝国のランクを受けないのはなんでなんでしょう?
滑り止めの八千代商科大発表日、奈緒子、桂も付き添ってくれます。
(合格発表を一緒に見に行ってくれるとは、なんて優しい友達なんだ。)
八千代商科大は、合格していました。
奈緒子は、笑顔で「おめでどう!」と。
合格したけど、なんとなく嬉しくない光。
この気持ち、分かります。
例え受かっても第一志望の大学を落ちると(二次志望も落ちてるので)こうなりますよ。
次は、奈緒子の発表待ちの番です。

第30話 あたし、バカだも
慶応医学部の合格発表日、合格発表の掲示版から帰っていく奈緒子。
すると父親が奈緒子を待っていました。
奈緒子の受験番号を知っていたのか、
いてもたってもいられなくて仕事を休んでワザワザ発表を見に来たという。
近くの喫茶店で、父は奈緒子に「おめでとう。」と言います。
ずっと奈緒子はさえない表情をしているのでここで初めて合格したことが分かります。
さらに父は「よく頑張ったな。お母さんも御馳走をつくるって大喜びだったぞ。兄と姉も呼んでお祝いだ。」と。
奈緒子は「2浪してやっと合格しただけだから」とお祝いすることのほどじゃないと帰ってしまいます。
それから奈緒子は光と泥酔するまで飲んで家に帰ると
あれからずっと立って待っていたんでしょうか?父親が玄関の前に待っています。
話があるから中に入れてくれないか?と父に言われても拒否する奈緒子。
あきらめて帰ろうとする父でしたが帰り際、
奈緒子は「(慶応)医学部には行かない」と。
父は、少し間を置いて「わかった。おまえの好きにしろ」と言って帰ろうとします。
奈緒子は泣きながら
「バカなこといっていると思ってるんでしょ?」
「そーよ、バカだもんねわたし・・・バカだもん・・・」
「お父さんが一番知ってんじゃない。お父さんがいったんじゃない。」
「わたし・・・バカだもん」 と。
一年前奈緒子が慶応医学部に落ちたときの
「バカなんだよ奈緒子は・・・バカなんだよ」という冷静な父親の言葉と
今回の奈緒子の泣き叫ぶ声との対比が二人のすれ違いを表現しています。

第31話 東京大学合格発表日
光、奈緒子と続いて今回はしおりの命運を分ける日がやってきた。
昨年の合格発表日(圭一)のことを思い出しながら掲示板まで足を運ぶしおり。
結果は、不合格。
前回の奈緒子の話が素晴らしい話だったからか、しおりに感情移入できないです。
不合格というどん底を叩きつけられても「やっぱり?」みたいな感想になってしまいます。

3卷まとめ
3卷は、2卷と違ってしおりが多く登場します。
しおりは、圭一と一緒の大学に行きたいという想いだけで東大を目指していたのに
圭一と別れてしまい、一時は東大をあきらめてしまいます。
なんとか立ち直って東大を受験しますが、不合格という現実が待っていました。
こんなに悲惨な出来事続きなのに、東大に不合格という結果に可哀想だと思えないのは
完全に奈緒子に食われてしまったからです。
(まったく勉強していそうにない光の合否は、正直どうでもいい。)

3卷のハイライトは間違いなく第30話です。
奈緒子の父は、自分の娘を慶応の医学部に入学させたいというエゴもあったけど
今回の話で奈緒子を充分愛していることが分かります。
おそらく奈緒子も小さいときから父親が好きだったんだと思います。
だからこそ父の言葉に深く傷ついてしまった。
若いときは親に反発してしまうときもあるけど、
ときが経てば親の愛情が理解できてきます。
2浪させてもらって、しかもマンションに一人暮らし。
さらには慶応の医学部に入学させられる財力のある家庭なんて少ないのですから
これだけでも本当は感謝しなきゃならないし、
父親が2浪もした娘の将来が心配で合格発表まで来るなんて泣けるじゃないですか。
お父さんが好きだからこそ芽生えた奈緒子の感情もわかるので
この話は、何回読んでも泣けます。
(ただ、わがまま通したんだから医学部には行けよと思いますが)

冬物語(3) (ヤングサンデーコミックス)


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