少し前になりますが、映画「ゼロ・グラビティ」の感想です。
無重力=ゼロ・グラビティ状態を忠実に映像で再現した映画として話題になりました。
宇宙からみた地球の絶景をみるだけでもこの映画を観る価値があります。
この映画は、3Dで体験する無重力状態の映像、宇宙から観る地球の映像、
そして、上映時間91分間は、映画上で流れている時間とほぼイコールということから
本当に自分が宇宙に放り込まれたような錯覚に陥る体験型映画です。
91分間の出来事をこれだけのドラマにできるのだから
監督のアルフォンソ・キュアロンの力量がうかがえます。
この映画は、以上に挙げた映像価値だけでなく、
主人公ライアン(サンドラ・ブロック)が
絶望的状況から帰還するというストーリーに本当の素晴らしさがあります。
人それぞれ尺度は違うと思いますが、孤独を感じて悲観的に思ったりすることがあると思います。
身近なところで、個人的なことを告白しますと
疲れているのに仕事で朝早く起きなきゃならないというとき。
外は真っ暗だし、疲れていて起きたくないし、なんとなく孤独感というか悲観的になってしまうときがあります。
そんなとき、この映画を思い出すと、
「あの主人公はあれだけの絶望的状況にも関わらず生きようと頑張ったじゃないか!」と
今日も一日頑張ろうという気持ちに切り替えることができたりします。
スケールが違いすぎて笑われるかもしれませんが、そう思ったんですね。
こうゆう自分の人生に少しでも影響を与える映画に巡り合えることは意外に少ないです。
以下、なぜこう思えたかをまとめてみました。
ここからは、完全にネタバレになります。
1.タイムリミットを設けた緊迫感
「地球に帰還できない=死」であり
宇宙には無重力というの状態とは別に無酸素という状況があるため
「酸素がなくなる=死」という時間的制限が設けられたことで
緊迫感が演出されています。
2.絶望的描写の演出
この映画は、主人公がこれ以上ないというくらい絶望的状況に置かれます。
どれだけ絶望的かというと、人類は自分一人しかいないという世界にいるということです。
一緒に宇宙に来たクルーは事故で皆死んでしまいます。
危機的状況から救ってくれたマット(ジョージ・クルーニー)は
絶望的状況に陥っても悲観的にならず、冷静に判断できる能力の持ち主で
主人公の頼りとなる唯一のクルーの生き残りでしたが、かえらぬ人になってしまいました。
さらに国際宇宙ステーションISSの中になんとか入ることに成功するも
使用済みだったのかステーションは無人でした。
正に世界に一人だけという状態です。
それでも主人公は地球に帰還しようと奮闘しますが
宇宙空間の移動船の燃料がなくなっていて、無人の世界に一人取り残された状態になってしまいます。
3.絶望からの帰還
主人公は、この絶望的状態から地球に帰ろうと、最後まであきらめず希望を捨てません。
一度は、あきらめて自殺しようとするのですが
生きようと思い直してからが凄い。
必死に必死に生きようとした結果、起こる奇跡を観覧者も一緒に体感することになります。
体験型映画であり、時間的制限による緊迫感も手伝って
「地球に帰らせてくれー!」と主人公になりきって手に汗握りながら見入ります。
4.「ゼロ・グラビティ」が伝えたかったこと
この映画からは「どんなことがあっても生きようとする希望をなくしてはいけないということ」を感じます。
でも、「どんなことでも」って、いきなりどん底の絶望から立ち上がるのは、無理があるかもしれません。
日々のそうゆう小さな感情に負けずまいと戦うことが大切なんだということだと思います。